二流の「有料メディア」に騙されない、選び方3秘訣 わざわざ「お金を払う」なら、ここがポイント

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専門家の発信がインターネットで簡単に読めるようになったメリットは途方もなく大きい。専門家は「一般人の勝手な思い込みとはまったく異なる視点」を持っており、そうした「多様な視点」に触れるだけでもメリットがある。

「では、新聞社やテレビ局、週刊誌のようなその分野の専門家ではないけれど、プロの組織ジャーナリストが書いた記事には価値がないのか?」という問いかけも出てくると思うが、本来はきちんと「価値がある」ものなのだ。

【ポイント3】「深い取材や分析」があるか

組織ジャーナリズムは「取材にかける予算」をふんだんに持っており、1つの事件やテーマについて「時間をかけて深く掘って追いかけていくことも可能」だ。こうした取材は原稿料の安いウェブメディアにはできないことだし、大学の研究者などの専門家も、1人の個人として普通はそこまでコストをかけられない。

3月4日(金)に佐々木俊尚さんの『現代病「集中できない」を知力に変える読む力最新スキル大全』刊行記念オンラインイベントを実施します。詳しくはこちら(写真:今井康一)

もちろん日本の新聞やテレビ、雑誌でも、そうした長期取材が実を結んだいい記事や番組はある。しかし数は少ない。実のところ、こうした深く長い取材の成果が読める記事は、海外の新聞や雑誌のほうが圧倒的に多い

そこで非常な価値を持っているのが、講談社が発信している「クーリエ・ジャポン」というウェブメディア。ここは『ワシントン・ポスト』『フィガロ』など各国の高級紙の記事を翻訳し、「横断的」に読ませてくれる。記事の選択もよく、深く良質な記事がぎっしりと詰まっている。

無料のネットの世界にはない「付加価値」が感じられる

これだけ無料の情報があふれているインターネットの時代に、わざわざお金を払って読むのである。それだけの高い価値がなければ、お金を払う意味はない。このような有料メディアの記事を読んでいれば、無料のネットの世界にはない付加価値を感じることができるはずだ。

「有料メディア=質がいい」に惑わされず、3つのポイントをしっかり押さえていけば、「有料メディア」から得られる情報は格段に価値が高くなり、自分の「知」になってくれるはずである。

佐々木 俊尚 作家・ジャーナリスト

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ささき・としなお / Toshinao Sasaki

1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、『月刊アスキー』編集部を経て、2003年よりフリージャーナリストとして活躍。ITから政治、経済、社会まで、幅広い分野で発言を続ける。最近は、東京、軽井沢、福井の3拠点で、ミニマリストとしての暮らしを実践。『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『そして、暮らしは共同体になる。』(アノニマ・スタジオ)、『時間とテクノロジー』(光文社)など著書多数。

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