日本人の寝室「ダニの楽園」になっている衝撃実態 多い場合はふとんから100万匹以上のダニが検出

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なお、ふとん内部の上層、中層、下層でダニの分布を調べてみましたら、綿のふとんでは人が寝ている側、すなわち上層部に、ポリエステルのふとんではふとんの下側にダニが多く集中していることがわかりました。

掃除機でダニを吸い取るときは、こうしたことを考慮にいれて、ダニの多い側をより丁寧に掃除をするのがいいと思います。

4重にした寝具にダニはどれほどいたのか

畳の上にカーペットを重ねると、ダニが爆発的に増えます。同様に重ねると寝具においても起こります。

ひどいアトピーで悩まれている、ある一人暮らしの成人の患者さんのお宅に訪問したときのことです。この方は職場で仕事をしているときは症状が出ませんが、家に戻ると皮膚がかゆくなって、あちこちが赤くただれてしまいます。

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私は患者さんの寝室の寝具を見て、「ああ、ここが原因だ」とすぐにわかりました。その方はベッドで寝ていましたが、①ベッドのマット、②その上に敷きクッション、③その上に敷きふとんを敷いて、④さらに敷きふとんの上にベッドパットを敷いていた、からです。つまり寝具を4重にして寝ていたのです。

私はそれぞれの寝具のダニの数を数えてみました。アレルギーが起きるダニの最低数は40匹/㎡です。それを頭に入れて、この家のダニ数を見てみましょう。

  • ① ベッドマットには21714匹/㎡
  • ② 敷きクッションには14125匹/㎡
  • ③ 敷きふとんには10288匹/㎡
  • ④ ベッドパッドには1948匹/㎡

いずれもアレルギーを起こす最低数をはるかに超えるダニが生息していることがわかります。

寝具を何重にも重ねたことで、ダニの居住空間が広がっただけでなく、適度な温度、湿度が保たれ、さらに人のフケや皮膚などエサも豊富にあることから、ダニが爆発的に増えてしまったのです。

こんなにたくさんのダニに囲まれながら、毎日このベッドで寝ていたら、アレルギーにならないほうが不思議です。

ちなみにこの患者さんは寝具をすべて廃棄し、新しいベッドにマットだけで寝るようにしたところ、アトピーの症状が劇的に緩和しました。この方は寝室以外にも、床をフローリングにしたり、さまざまなダニ対策を行ったりした結果、見違えるようにすべすべの肌を取り戻しています。

寝具はなるべく重ねない。とくに人の体がつねに接する敷きふとんにはあまり寝具を重ねないほうが、ダニを増やさないという点ではおすすめです。

髙岡 正敏 ペストマネジメントラボ代表取締役

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たかおか まさとし / Masatoshi Takaoka

日本獣医畜産大学卒業。東京大学医科学研究所寄生虫研究部でダニの研究を始める。1975 年東京医科歯科大学医動物研究室教務技官に就任。1978年獨協医科大学医動物学教室講師に。グアテマラにフィラリア症対策プロジェクトの専門員として1年間派遣される。1980 年埼玉県衛生研究所環境衛生部技術吏員に就任。埼玉県立衛生短期大学非常勤講師、埼玉医科大学非常勤講師などを兼務。住居内のダニに関する調査を続け、莫大なデータを集める。2008 年埼玉県衛生研究所を定年退職。これまで行ってきたダニに対する調査結果をまとめ、アレルギー疾患に対する治療法と予防法を確立するため、株式会社ペストマネジメントラボを設立。
 

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