出戻り転職希望の男性に副社長が「驚きの一言」 「骨をうずめる」覚悟で再入社しようとしたら…

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そんなふうに過去を振り返る中島さんだったが、その後、A社、B社と2社で働いたのち、HENNGEに再び入社することになる。ベンチャー志向の持ち主なのは話を聞いていても容易に想像できるが、なのになぜ元の会社に……と思う人もいるだろう。

しかし、詳しく話を聞いていくと、彼の考えが変わるさまざまな出来事が見えてくる。

インプット重視で転職を決めるも…

まず、A社では、1年2カ月働いた。

「転職する時って、事業内容や社風などを気にすると思うんですけど、その時はとにかく”新しいインプットができる”ことに興味が湧いていました。A社は上場したばかりのタイミングで、売り上げは前年比200%近い時も。自分は人事として入社したので、組織づくりがミッションだったんですけど、この時期にしかできない経験があると思いました。おそらく、誘われたタイミングが違っていたら、入社していなかったと思います」

次にB社に転職した。「性格的にも合う社風で、とてもいい会社でした」としつつも、中島さんは結果的に半年で退職することになった。

「いざ入ってみると、『仕事をスムーズに進める難しさ』があることに気づきました。転職する時の自分の信頼貯金って、履歴書までしか使えなかったりしますよね。それを、イチから作ることを大変に感じたんです。

当時すでに30代なかばだったこともあって、会社から求められる成果のハードルが高かったのもありました。もし自分が20代なかばだったら、馬力でカバーしたり、周囲も違う目で見てくれたかもしれませんが、抽象度の高いミッションに、短期間で向き合わなければいけませんでした」

フリーランス人事として筆者はさまざまなビジネスパーソンの転職に関わっているが、「ある会社で大活躍していた人が、別の会社ではうまく実力を発揮できなかった」という光景は、決して珍しいものではない。成果を出せるか否かには、人間関係など環境の影響も大きく、そこに恵まれないと本来のパフォーマンスをすぐに発揮できないことがあるのだ。

イチから人間関係を築くなかで、信頼貯金の価値を知った中島さんだったが、その後、より難しい状況に追い込まれることになる。

「ちょうどプライベートでの変化があって、今までみたいに仕事に集中することが難しくなってしまったんです。長く勤めていたら、『そういう時期あるよね』『ちょっと休みなよ』って言ってもらえる可能性もあるでしょうけど、短い間での関係性だとそうはいかないと自分を追い込んでしまった。信頼貯金がある状態とない状態では、セーブしつつ働くことへの焦燥感が大きく異なることを知りました」

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