観光に高速道「走り放題」が必要なこれだけの理由 渋滞問題を引き起こす要因も距離制にあった
前回の記事(経済の立て直しの肝「観光」を見誤った日本の失策)でも述べたように、国民の1年間の国内旅行消費額が、ドイツは39.6兆円、イギリスは28.8兆円なのに対して、日本は20.5兆円にとどまっている。
この原因はどこにあるのか? 筆者らはその最大の原因が、遠くに行けば行くほど高くなる「距離制の高速道路料金」にあり、「定額制料金」に変えることによってこれを解決・解消すべきと考えている。
国内旅行の約5割が自家用車による旅行
JTBの発表によると、国内旅行の48.9%は自家用車による旅行であり、バスを利用しての旅行が30.8%、鉄道は29.7%、航空機が7.8%だ(旅行目的地に着いてからの2次交通も含まれるので、合計は100%を超える)。
つまり、旅行者の79.7%が道路を利用して旅行しており、道路の利用環境は、国内旅行にとって最も大きな要素だといえる。その道路のなかでも、国内旅行を考える際に最も重要なのは「高速道路」であることは誰でもすぐ想像できるだろう。
下の図表は、日本・ドイツ・イギリスの道路関連のデータをまとめたものである。高速道路の充実ぶりに関していえば、アウトバーンの伝統を持つドイツが傑出しているが、特にイギリスと日本の間には、前述の大きな差を説明できるような違いは見いだせない。
日本とドイツ、イギリスとで大きく異なるのは、「高速道路の料金制度」だ。