企業リーダーは本気でNPO運営にかかわるべきだ アクサHDジャパンの安渕聖司社長兼CEOに聞く
しかしこれを5年、10年と地道に続けて成果を出しているNPOがたくさんあります。企業の視点から見た場合、顧客に寄りそう姿勢やパーパス(存在意義)で人を巻き込む姿勢に通じるものがあるのだと思います。
リーダーに必要な「4つの経験」
――これから企業のリーダーになろうとしている人は、どんな経験が必要でしょうか?
私が企業のリーダーを育成する際に、どんな経験をしてもらうと良いのか、意識している点が4つあります。
第1は、困難なことにチャレンジし続けることです。自分が楽に達成できる「コンフォートゾーン」に入ってしまうと、その人はなかなか成長しません。自分の慣れ親しんだ環境から外に出て、やったことがないこと、より難しく、より大きく、より広範囲にわたる分野でチャレンジし続けていくことが非常に大切です。
第2は、決断する経験を積むことです。自分である程度リスクをとり、どんどん決断していくことができなければ、なかなかリーダーシップは身につきません。「これはやる、これはやらない、なぜならば〇〇だから」を自分で決めて、自分で語ることです。
第3は、いろいろなことをつねに学び続ける姿勢です。多くのことにアンテナを高く張り、どんどん学んでいくこと。「キープラーニング!」です。
最後の第4は、自分をつねに客観的に見られるかどうか――「セルフアウェアネス」です。これが欠けてしまうと、周囲ともかみ合わなくなります。高いレベルのセルフアウェアネスをどう持ち続けるかがリーダーとして常に意識すべきチャレンジです。
もし上司の立場で、リーダーとして育てたい人がいれば、4つのことが達成できるような仕事の機会を与えます。そして、研修や客観的な評価の機会も提供していくことが重要です。

そして、リーダーとして成長していくまさにそのときにこそ、社内だけでなく社外の経験も生きてくるのです。いま申し上げた「常に学ぶ姿勢」や「セルフアウェアネス」は、NPOなどにかかわることでも経験値がたまります。
また「チャレンジする力」や「決断する力」についても、例えばWIT(筆者が代表)の「ボード(理事会)フェロープログラム」(NPOの経営陣として組織を回していく力を身につけるプログラム)に、その要素が入っていると思います。
というのも、理事会は単に管理監督をする組織ではありません。組織のあるべき目標に向かって、日々の事業活動ができるようにしっかり支援する存在です。ですから理事会のメンバーには人の育成や、足りない経営資源を持ってくることも役割に含まれています。理事という高い視野で物事を考え実行するという観点からNPOにかかわるような、社会に開かれた企業人が増えていってほしいと思います。
コロナ禍でますます明らかになりましたが、NPOは社会の足りない部分をしっかり埋めてくれています。「NPOにかかわってみたい」と思うビジネスパーソンや企業にとって、今はチャンスです。コロナは世界中で起きており、誰もが助けてほしいと思っているし、誰もが助けられる存在になれるということです。ぜひ何かの活動に触れてみることをおすすめしたいです。
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