企業リーダーは本気でNPO運営にかかわるべきだ アクサHDジャパンの安渕聖司社長兼CEOに聞く

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伝統的な日本の大企業の多くでは、まだまだ持続的な社会貢献(NPOやNGOの支援含む)が進んでいません。その理由の1つに「経営者がNPOのリーダーたちと接点をまったくもたない」ということが挙げられます。

もちろん、企業の中でCSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)などを管轄する部署は、対NPOの窓口となって頑張っています。しかし、会長や社長などトップの経営者が直接NPOのリーダーたちに会ったことも、じっくりと話したこともほとんどないため、経営として社会貢献に向き合うことがまだ少ないのだと思います。

企業人としてNPOにかかわる「4つのメリット」

――企業やそこで働く社会人がNPOにかかわる具体的なメリットは何でしょうか?

1つひとつのNPOは必ず何らかの社会課題の解決に取り組むために設立されているわけです。そうしたNPOにかかわっていると「社会に向かって開かれた企業人」になることができます。

つまり、自然に普段から生きた情報を幅広い分野で得ることができるようになるのです。例えば地域のNPOの活動に携わっていれば、どこかで地震が起きたときに「誰か困っているのでは?募金をやってないかな、ボランティアできるかな?」などといった視点を持つようになるわけです。このように、何か社会で重要な問題が起きたときに、他人事ではなく「何か自分にできることがあるのでは?」と自発的に考えられるようになります。

メリットは大きく言って4つあります。1つ目は、まず「人生100年時代」において、残りの多くの時間が本当に豊かになるということです。もし社会に開かれていないと、会社に所属している自分がほぼ100%となります。

そうすると、会社人生が終わり、ふと周りを見渡すと、自分はどこにも所属していないことにようやく気づきます。こうして社会から離れた人間が生まれ、群衆の中の孤独を生んでしまうのです。

これが、とくに今までの日本の男性に多く見られる「会社中心人間」の典型的な現象です。確かに、少し前までは、社会・会社・家庭がまったく分断され、家を一歩出て会社という世界に入ったら「どこで何をしているか家族にはわからないが、毎日夜遅くに帰ってくる」という世界がありました。

ところが、コロナ禍で社会・会社・家庭が急激に融合し、一体化してきています。「実は会社以外にもいろいろなコミュニティーがあるんだ!」と多くの人が気づくことになりました。

自分の住む地域だけでなく、他のコミュニティーとの接点を持つことは、長い人生を充実させることにつながります。これは実は健康にも影響します。人との接点が少なく、孤独になるほど、身体的にも精神的にも健康に悪い。社会との接点を持ち続けることは、人生100年時代を豊かに生きるための大きなポイントです。

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