安全な食品とそうでない食品を見分ける重要な鍵 あなたは「超加工食品」の存在を知っていますか

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NOVAグループ④の食品が利用されるようになったのはごく最近のこと、繊維から鉄、蒸気エンジン、自動車にいたるあらゆるものの製造を機械化する大規模産業が発展して以来である。

それでは、NOVAグループ④の超加工食品とは、どういうものをいうのだろう? 先に述べた加工食品と何が違うのだろうか?

グループ④:ペンキやシャンプーと同じ「工業製品」

工業的製法で広範な加工が行われるため、ときには食品と見なされず、「超加工製品」と呼ばれることさえある食品だ。ペンキやシャンプーと同じ工業製品だが、消費者の装飾的な美学や衛生観念にではなく、味覚に訴えるよう設計されている。

一般に超加工食品の製造は、大規模な機械によってホールフードをデンプン、糖、脂肪、油、タンパク質、食物繊維などの成分に分解するところから始まる。原材料となるのは、主に工業生産された高収量作物(トウモロコシ、大豆、小麦、サトウキビ、テンサイなど)や、集約的に生産された畜肉の挽肉やすり身である。

続いて加水分解(化学分解の一形態)や水素化(水素原子の付加)などの化学的修飾を施されてから、ほかの物質と組み合わされることもある。またその過程で、さらに工業加工(前揚げ、押し出し、成形など)されたり、また品質保持期間を延ばし、食感や風味、匂い、外観を変えるために、化学添加物を配合されることもある。こうした添加物の多くが農産物由来ではなく、石油などの産業に由来する化学物質である。

石油とシャンプー、ペンキ、超加工食品の共通の関心事は、人間の食事をよくすることとは何の関係もなく、むしろ製品をより効率的に製造したり、消費者への訴求を高めたりすることにある。

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