「Zoomが使えない50代課長」が会社に招いた大損失

「え?Zoomって録画できるんですか?」

2021年の秋、「テレワークをさせてもらえないから」という理由で辞めた20代の若者がいた。上司である部長や課長は「意味がわからない」と首をひねった。

「脱炭素の機運が高まっているのに、日本全国へ出張させられる。同業の営業もみんなオンライン商談で済ませているのに、この会社は不誠実だ」とその若者が主張していたらしい。

どんなに「公共交通機関を使えば、それほど温暖化ガスを排出していることにならないだろう」と説得してもきかなかった。本心はそういうことではないからだ。

現場に入って、ふだんから部長や課長たちとコミュニケーションをとっているとわかる。ビジネス書も新聞も読まない。SDGsや脱炭素のことも正しく理解できていない。当然、若い世代が持つ「社会貢献欲」についても把握していない。

環境が変化していることに、知識や意識がついていけない上司や経営幹部に愛想をつかしていたのである。

部長はいつまでも部長のまま

「当社の営業部長は、42歳からやってます。もうすぐ19年ですよ」

ある工作機械関連の社長が言っていた。

「総務の課長は38歳ぐらいからやっていると思います。もう59歳ですから、20年以上やってますね」

なんと、長いことか。部長はずっと部長、課長もずっと課長だ。その上には、63歳の本部長がいるし、60代後半の専務や常務もいる。

極論かもしれないが、私は中学や高校の「部活」のようにできないか、と考える。

たとえば高校の野球部だったら、夏の大会が終わるころに3年生は引退する。そうなれば、自然と2年生が下級生を指導するようになる。序列が上がることで、自分のアイデンティティが変わる。まさに「地位が人を作る」作用が働き、ドンドン人が育っていくのだ。

これがもし、3年生が引退せず、ずっと残り続けていったらどうなるか。次の年も、次の年も引退せずに残り続けたら、チームの形態はどう変遷していくだろうか。

ある高校野球部のメンバー構成が、

・9年生:8人
・8年生:9人
・7年生:12人
・6年生:18人
・5年生:13人
・4年生:15人
・3年生:17人
・2年生:10人
・1年生:7人

もしこうであったら、何年経ってもレギュラーの座をつかめないし、それどころかベンチ入りも難しいかもしれない。いつまでたっても下級生は育たない。次に入部してくる新1年生もやる気をなくすだろう。

日本企業も、こうなりつつあるのだ。

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