「Zoomが使えない50代課長」が会社に招いた大損失 「え?Zoomって録画できるんですか?」

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若手とベテランが同居する「二世帯組織」には2つの問題点がある。

1)人が育たない
2)組織エンゲージメントが高まらない

まず、人が育たない。地位が人を作っていくわけだから、ポジションを与えられないと30歳でも、40歳でも下っ端のままだ。

先述したベンチャー企業の営業部長は27歳だ。部下は16人いる。専門学校を卒業して20歳で社会に出た。それから7年で、今では「社長の右腕」にまで出世した。以前は引っ込み思案だったようだが、ポジションを与えられグングン成長したと言う。

次は、組織エンゲージメントが高まらないという問題だ。想定外の出来事が起きたとき、一丸となって困難を乗り越えようとする熱気が組織には必要だ。しかしそれが乏しい企業がとても多い。

アメリカの調査会社ギャラップによれば、エンゲージメント(熱意)の高い社員は、アメリカの32%に対して、日本企業は6%しかいない。

組織のトップの感度が高く、常に自己研鑽しているのならともかく、そうでなければ若者からはリスペクトされない。現場で通用する”技能”の高さだけでは、優秀な人財の心を掴むことはできなくなっている。

大胆な2つの解決策

このような問題にどう対処していけばいいのか。大胆な解決策を2つ紹介しよう。いずれも「二世帯組織」の進化・解体を意味する。

・循環型組織への進化
・別居型組織への解体

循環型組織は簡単だ。役職定年を45歳ぐらいまでに引き下げ、45歳を超えたら、強制的に部長とか課長の肩書をはずす(対外的な面子を保つために肩書だけ残すケースもあり)。

まさに部活のように後輩へと肩書を渡していくのだ。マネジャー試験などを通じ、合格すれば役職を付与するというスタイルも悪くはないだろう。

しかし現実にはハードルは高い。創業時からこのルールで組織運営していたのならともかく、途中でこれほどの大幅変更に耐えられないベテラン人材も多いだろう。

現実的なのは、冒頭に紹介した工務店の例だ。ベテランの組織と若手の組織とを分けて組織運営する。40歳以降は営業第一課。39歳までは営業第二課、といった具合に分けるのだ。しかし、これもいろいろと障壁がありそうだ。年齢だけで分けても、価値観が揃うとは限らないからだ。

ベテラン人材にも「リノベーション」が必要だ

いちばん現実的な解決策はやはり「学び直し」か。

昨今、ニュースで頻繁に取沙汰されている「リスキリング」である。単にデジタル対応のためだけではない。ロジカルシンキングやコミュニケーション、マネジメント、マーケティング、リーダーシップ、財務経営……。普遍的なテーマのスキルも、長年自己研鑽していなければ通用しない。

とくにオンライン時代は言語コミュニケーションが重要視されるようになった。特に「あれ」「これ」「それ」という指示詞の類を使うようになったら、言語コミュニケーションを鍛え直したほうがいい。

「学び直し」のみならず「鍛え直し」も組み合わせ、ベテラン人材の”リノベーション”が一番の近道である。組織リーダーの年齢とともに、組織そのものが老いていく企業に明日はないのだから。

横山 信弘 経営コラムニスト

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よこやま のぶひろ / Nobuhiro Yokoyama

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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