不遇の山、御嶽山が突き付ける災害リスク

登山客は前兆なく遭難、重なる広島の悲劇

御嶽山の噴煙を避けるため避難する登山客たち。秋の行楽が一変した。噴火を事前に予知することは極めて難しい(写真:アフロ)

不遇の山――。北アルプスの火山を長年、研究してきた産業技術総合研究所の中野俊・上級主任研究員は岐阜・長野県境の御嶽山をこう呼び表してきた。

標高3000メートルを超え、日本では富士山に次ぐ高さの火山であるにもかかわらず、国立公園にも国定公園にも指定されていない。日本列島の真ん中に位置し、古代から信仰の対象にされてきた霊峰にしては寂しい扱いだという意味での「不遇」。ただし、それは「リゾート開発には都合がよい」と中野研究員は公言していた。長野県側にあった3つの村で戦後、競うようにスキー場開発が進められ、バブル期にはそれが岐阜県にも拡大。山肌のゲレンデやゴンドラで「御嶽山はいたるところ傷だらけになっている」と嘆いていたのだ。

35年ぶりの規模となった、今回の御嶽山の噴火。秋晴れの紅葉を楽しみに山頂を訪れていた200人余りの登山客にとっては、まさに不遇、不運の瞬間であったろう。

常時監視をしていたにもかかわらず・・・

気象庁は地震計や傾斜計、空振計、GPS、望遠カメラなどあらゆる機器を使って火山活動を監視していた。半月ほど前からは火山性地震の増加をとらえている。しかし、入山規制に至るまでの警戒を呼び掛けることはできなかった。

噴火の12分前には火山性微動を観測したというが、登山客は何の前触れもなく立ち上がった噴煙を見上げ、なすすべもなく黒い火山灰に巻き込まれるしかなかった。

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