浜ホト、超難関"核融合発電"に挑み続ける

高出力レーザーの実験施設に行ってみた

今回の主目的は、核融合発電実用化の鍵となる、高出力レーザーの実験施設を見せてもらうことだ。

これが核融合炉。上から燃料を落とし、そこにレーザー光を照射する

核融合とは、毎秒約3.6×10の38乗回(つまり途方もない回数)も太陽の内部で繰り返されているもので、2個の水素原子核が合体して1個のヘリウム原子核に変換される、いわば天然の錬金術だ。このとき膨大なエネルギーがガンマ線として放出される。このとてつもないエネルギーを手に入れることは人類の夢だった。

人工的に核融合状態を作り出すためには、重水素という比較的手に入りやすく安全な燃料が使われることが多い。なにしろ重水素は海水中に無限ともいってよいほど含まれているのだ。次世代の発電の手法として注目されているのはこれが理由だ。

レーザーを用いる核融合とは?

人工的に原子核同士を融合させるには、重水素を超高速で衝突させる必要がある。衝突させるためには重水素を超高温にすればよい。温度が高いというのは原子や分子が高速で動いているということだ。動けば動くほど衝突する確率は上がる。ただし、核融合するほどの超高温、すなわち超高速になると、原子核はどこかに飛んでいってしまいかねない。そこで磁気で封じ込めるという方法が考案された。トカマク炉などがその代表例だ。

いっぽうレーザーを用いる核融合炉も考案された。超高強度の光エネルギーを小さな燃料に当てて、超短時間で圧縮しようというのだ。浜松ホトニクスが進めているのは、このレーザーを用いるタイプの研究開発だ。重水素や三重水素が入った微少なカプセルに照射し、核融合を起こさせるに足るハイパワーのレーザーを実現しようとしているのだ。それにしても、この分野はなんでもかんでも超がつく。まさに超技術なのである。

この方式は、アメリカの国立点火施設(NIF)も実験に採用している。先日は、核融合で利得3を達成した、つまり、燃料にぶつけられたエネルギーよりも、燃料が核融合を起こしたことによって得られたエネルギーの方が3倍多かったと発表したが、これは画期的な数字だ。

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