浜ホトにも、ハイパワーレーザーのほか、核融合実験用のチャンバー、そして、燃料となる微少なカプセルの製造設備まで揃っているという。
その実験施設は、浜松駅から車で40分ほどのところにあった。広大な敷地に、じつに洒落た建物が並んでいる。見栄えなどを気にせず、技術だけに邁進する浜ホトらしからぬランドスケープだが、聞いてみると、かつてはあるIT会社がバブル期に建てたものを安く購入したとのことで、なんとなく安心する。
ご案内くださるのは取締役の菅博文さん。開発本部の大出力レーザー開発部の部長でもある。半導体レーザーが実現はしていたものの、実用化は難しいのではと言われていた頃からレーザーの研究を続けてきた方だ。
実現と実用化の違いは、自転車に例えるとわかりやすいかもしれない。補助輪ありで数秒間でも前に進む状態が実現、補助輪なしで長時間走行できるのが実用化だ。
すっきりした実験施設
さっそく、大出力レーザーと核融合の実験設備を見せてもらうことにする。無塵服を着て、エアーシャワーを浴び、ワクワクしながらクリーンルームへ。そこで金属製のコンテナのようなハコの扉を開くと、光学実験台の上に、レーザーシステムが設置されていた。
なんだかすっきりしている。なぜだろうと考えて、扱っているのが光だからだと思い至った。扱うのが気体や液体なら配管が必要だし、その配管を温めるための電熱線やアルミホイルなども欠かせない。また扱うのが電子なら、その軌道を曲げるために磁石やコイルが必要だが、光の軌道は回折格子やミラーで変えられる。だからすっきり片付いて見える。
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