当連載は次回から、知られざるインドの企業研究シリーズをお届けする。その前に、“番外編”として、2014年5月のインド総選挙を支えた国外居住インド人(NRI)について触れたい。
5月の総選挙は、インドの多元的民主主義の強固さとソフトパワーおよび国家制度の回復力を再び示したことで世界中の注目を集めた。今年の選挙戦が非常に人の心をつかむものになった要因は、単に新しい政治家の顔ぶれが出現したことだけでない。実は、そこにこれまでにないグループが積極的に参加した。何百万人におよぶ強力な国外居住インド人である。
2014年総選挙で果たした役割
総選挙の時点で、ナレンドラ・モディ氏の人気は、国内外の支持者のあいだで絶頂を迎えていた。国外居住者がインド国内の政治的出来事に関心を持つのはこれが初めてではない。彼らは何らかの形で関わってきた。国内の家族に送金するように(インドは世界最大の送金受領国である)、在外インド人(NRIs)は政治運動にも献金を行ってきた。
今回注目すべきことは、寄付金の額と寄付者の数の多さである。さらに重要なのは、非常に多くの人々が国外に現実に存在するという事実そのものと彼らによる選挙運動への積極的な参加であり、このことは関心の高さと支持の影響力の大きさを表している。
在外インド人のモディ氏支持者チームは、「NaMo(ナレンドラ・モディ)チーム」と呼ばれている。インド人は世界中のほぼ100カ国の国に居住しており、それぞれの国でインド人達は集会や毎週の討論会を組織し、インドの政治的出来事や最近の傾向などを議論し始めた。在外インド人による“NaMo for PM(モディ氏を首相に)”運動は、故郷にいる親戚や友人に電話をしたり、その町での関心事や問題を知ろうと努めたりする、という形で貢献した。議論の中で集められた関心事や問題は、ソーシャルメディアで広められたり、モディ氏の政党事務所があるそれぞれの地域の適切な人物に伝えられたりもした。
毎週のようにNaMoチームはハングアウト(ビデオ通話)も行い、どうすれば運動を軌道に乗せるための効率的な貢献ができるかについて議論した。時間を費やすことのできない人は寄付を行った。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら