「楽して儲けるのは悪」と思い込んでいる人の盲点 苦労の少ない成功は、物語になりづらいだけ

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「会議室の空気は重く、誰もが頭を抱えていました」とサウスウエスト共同創業者のハーバート・ケレハーは語る。

そのとき、1人がパッと顔を上げ、「他社のチケットに合わせる必要があるんですか?」と言った。「他社と同じシステムをつくらなくても、もっと安いやり方があるんじゃないですか?」

「そうだ、他社に合わせる必要なんかない」と別のマネジャーも賛同した。「うちがチケットだと認めれば、それがチケットなんだ。『これがチケットです』と書いて、普通の紙にただ印刷すればいいじゃないか」

サウスウエスト航空は、さっそくそれを実行に移した。なんの変哲もない普通の紙に、チケットの情報を印刷する。立派な機械など必要ない。システム構築に大金を払う必要もない。とてもシンプルに、安価に、問題は解決された。

前提を疑い、問題を別の角度から見てみれば、そこには驚くほど簡単な答えが隠れているかもしれない。

いちばん簡単な問題を見つける

「事業がうまくいかず苦戦しているなら、無理に頑張る必要はありません。もっと簡単にできるビジネスがないか、探してみたらどうですか?」マーケティング論の第一人者セス・ゴーディンはそう語る。

LinkedIn 共同創業者のリード・ホフマンも、同様のことを述べている。「ビジネス戦略でもっとも大事なのは、いちばんシンプルで、簡単で、価値のある問題を解決することです。実際、いちばん簡単な問題を見つけるのは戦略の要です」

大きな成功を手に入れるためには、すごい困難に立ち向かわねばならないのではないか。私たちはそう考えがちだ。だが、シンプルで簡単な問題にこそ、チャンスは隠れているかもしれない。

ハフポストの共同創設者アリアナ・ハフィントンも、以前は死ぬほど努力して結果を出す人間だった。だが、頑張りすぎることをやめたとき、はじめて本当の成功を手に入れた。

「成功するために心身を酷使して働かなければならないというのは、私たちの社会の集団幻覚だと思います」と彼女は語る。

もちろん、苦労して手に入る成功もある。逆境に打ち勝って偉大な成果を上げた人々もいる。どんな困難にも負けず、努力を重ねて成功した人の話は、心を打つ。

だが、逆境のヒーローの話ばかりを見ていると、それ以外の道があることを忘れてしまいがちだ。

多大な犠牲を払って成功した人々と同じくらい、簡単に成功した人々もいる。ただ、苦労の少ない成功は、物語になりづらいだけなのだ。

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