斬新なアイデアを考えては「コケる」人の盲点 クリエイティブディレクターの課題解決術

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「自由な発想」にも守るべき一線があります(写真:metamorworks/PIXTA)
ビジネスにおいては、過去に縛られない自由な発想で新しいアイデアを考えて、実行することが推奨されることが多い。だが「自由な発想」にも守るべき一線があり、これを破ると痛いしっぺ返しを食らうことになる。電通の営業マンからキャリアをスタートし、独立してサントリー「角ハイボール」他のプロジェクトを手がけている異色のクリエイティブディレクター・齋藤太郎氏の初の著書『非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術』(2022年1月28日刊行)から、課題解決のアイデアを考えるうえでの重要なポイントを紹介する。(こちらから、本書の「はじめに」「序章」「1章」「2章」を試し読みできます)

飛び地に行くと失敗する

かつてあるネット証券会社のマーケティングの責任者から、ちょっと変わった相談を受けたことがありました。「競合がかなり強く、もはや20代、30代を相手にしたマーケットでは勝ち目がないので、10年後にターゲットになりうる、10代にアプローチしたい」という依頼です。

『非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら

考え方としては斬新で、なくはない。それができたら面白いとも思いました。しかし、ネット証券、株式取引というビジネスで「10代にアプローチする」というのは、やはり「無理してる」という印象を世の中からは持たれかねないと思いました。結果として、誰の心にも届かないのではないかと。自由な発想というより、あまりに「飛び地」過ぎる。

しかも聞けば、社長の了解はまだ得ていないアイデアであり、社長を説得するプレゼンをしてほしい、とのこと。社長は「飛び地」であることをわかっているのでしょう。だから、マーケティングの責任者は社長を説得ができなかったのです。結局、この依頼は断りました。

解決策の仮説を考えるときに、やってしまいがちな「あるある」があります。それは、いきなり「飛び地」に行くことです。

前例に囚われず、自由な発想で考えることは重要ですが、そこにも、守るべきお作法はあります。いかに魅力的なプランに見えても、そこを見誤ると痛い結果になります。

出所:『非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術』
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