斬新なアイデアを考えては「コケる」人の盲点 クリエイティブディレクターの課題解決術
飛び地に行くと失敗する
かつてあるネット証券会社のマーケティングの責任者から、ちょっと変わった相談を受けたことがありました。「競合がかなり強く、もはや20代、30代を相手にしたマーケットでは勝ち目がないので、10年後にターゲットになりうる、10代にアプローチしたい」という依頼です。
考え方としては斬新で、なくはない。それができたら面白いとも思いました。しかし、ネット証券、株式取引というビジネスで「10代にアプローチする」というのは、やはり「無理してる」という印象を世の中からは持たれかねないと思いました。結果として、誰の心にも届かないのではないかと。自由な発想というより、あまりに「飛び地」過ぎる。
しかも聞けば、社長の了解はまだ得ていないアイデアであり、社長を説得するプレゼンをしてほしい、とのこと。社長は「飛び地」であることをわかっているのでしょう。だから、マーケティングの責任者は社長を説得ができなかったのです。結局、この依頼は断りました。
解決策の仮説を考えるときに、やってしまいがちな「あるある」があります。それは、いきなり「飛び地」に行くことです。
前例に囚われず、自由な発想で考えることは重要ですが、そこにも、守るべきお作法はあります。いかに魅力的なプランに見えても、そこを見誤ると痛い結果になります。
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