休日連絡NG、つながらない権利どこまで主張可能? 時間外に残業代なしの電話・メール対応はダメ
なお、「基本給には45時間分の時間外手当を含む」というような形で、固定残業代が支払われている場合であっても、業務時間外に電話やメールの対応した時間に対し、出勤簿上に残業の記録を付けることが認められていなければ「つながらない権利」の主張が可能です。
固定残業代は、固定的に支払われている残業代の時間数の範囲であったとしても、無条件に残業を認める制度ではなく、(メールチェックのようなこま切れの残業も含め)実際の残業時間を管理し、実残業代が固定残業代を上回る場合には差額精算を行っている場合に限り、法的に認められる制度だからです。
第2は、事業主から「当社では、いつでも顧客や上司からの連絡に備えてもらう方針なので、つねにスマートフォンの電源は入れておくように」というようなことを指示された場合です。
会社から指示を受けたらすぐに業務を開始しなければならないとういう状況の場合、法的には「業務から解放されている」とは言えず、休憩時間や私的時間ではなく、労働時間(いわゆる「手待ち時間」)として扱わなければなりません。
働き方改革法で、36協定による残業時間数の上限が法定され、1カ月100時間超の残業は、いかなる場合であっても違法となりました。そうしますと、たとえゆるやかであっても、事業主の指揮命令が24時間365日続くような状況は、36協定違反ということになります。
加えて、24時間365日分の残業代が支払われることも無いでしょうから、上記「第1」の理由により、「つながらない権利」を主張することも可能です。
「つながらない権利」の行使は難しい
しかしながら、法的には「つながらない権利」の行使が可能であっても、現実的には、会社からの指示を拒否して電話やメール対応をしなければ、上司から叱責を受けたり、人事考課でマイナスになることを心配するという声が聞こえてきそうです。
これに対する筆者の私見は、「そのような会社で心身を消耗するのではなく、退職を積極的に検討する余地があるのではないか」ということです。
24時間365日のサービスを提供したいのであれば、8時間ずつ、3交代制のシフト勤務とするのが会社として当然の対応です。あるいは、緊急時に備えるのであれば、輪番で当直者を置くなどして、従業員が恒常的に時間外の対応をしないですむような仕組みづくりをするのが会社の責任です。
会社がそのような対応をせず、現場の従業員の「つながらない権利」の犠牲の上に業務が回っているとしたら、それは、もはや正常なビジネスモデルとは言えません。
コスト的な制約や、人員不足など、さまざまな理由はあると思いますが、会社のビジネスモデル自体が崩壊している場合、個人の努力だけでは対応に限界があります。
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