休日連絡NG、つながらない権利どこまで主張可能?

時間外に残業代なしの電話・メール対応はダメ

テレワークなどで仕事と私生活の境界線が曖昧になり、「つながらない権利」という言葉が注目を集めています(写真:アン・デオール/PIXTA)

スマートフォンをはじめとしたITツールが普及し、また、コロナ禍を経てテレワークが定着する中、労使双方から見て便利な世の中になったことは間違いありません。しかし、そのような中、負の側面として、仕事と私生活の境界線が曖昧になることが問題視され、「つながらない権利」という言葉が注目を集めています。

「つながらない権利」とは、退勤後や休日など業務時間外に、仕事上のメールや電話への対応を拒否する権利のことを指します。

フランスやイタリアなどでは、この「つながらない権利」が法制度化され、労働者の権利として法律上正式に認められています。一方、日本では、残念ながら「つながらない権利」は法制度化されていません。

業務時間外のメールや電話にどう対応すべき?

そのため、例えば、上司から退勤後に電話があり、応答できなかったとき、「昨夜、緊急で相談したいことがあったから君の携帯に電話をしたのに、折り返しもしてくれなかったのは無責任だよ」と叱責された場合、自分が悪かったのか、上司の要求が過剰なのか、少なからずの人が判断に迷うのではないかと思います。

私たちは、業務時間外のメールや電話に対し、どのように対応すべきなのでしょうか?

本稿では、法的に「つながらない権利」が明確に保障されていない日本において、実務上、働く人は、どのくらい「つながらない権利」を主張できるのか、そして、どのように「つながらない権利」を守っていくかについて考察をしてみたいと思います。

まず、法的に「つながらない権利」を明確に主張できるのは、次の2つの場合です。

第1は、業務時間外に電話対応やメール返信をしているにもかかわらず、会社が残業代を支払わない場合です。

労働基準法では、労働時間に対し1分単位で残業代の支払いを義務づけています。「短時間だから」とか「ちょっとのことだから」という理由で残業代の不払いをすることは許されません。

業務時間外に電話やメールの対応を命じられ、実際に対応をした場合には、その対応時間は、法的に残業時間となります。これに対し残業代が支払われないのであれば、いわゆるサービス残業となり、残業命令(業務時間外における電話やメールの対応の指示)自体が違法ということになります。

違法なサービス残業を労働者が拒否できるのは法律上当然のことですから、実質的に「つながらない権利」も主張することができるということです。

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