休日連絡NG、つながらない権利どこまで主張可能? 時間外に残業代なしの電話・メール対応はダメ
経営者が顧客に値上げ交渉をして人員を増加する原資を確保しようとしたり、アウトソースや派遣社員の受け入れなどで社内負荷の軽減を図ろうとしている様子があれば、将来的に労働環境の改善が期待されますので、「この会社でもう少し頑張ってみよう」という選択肢も考えられるかもしれません。
しかし、経営者が何も手を打たず、漫然と従業員の「つながらない権利」が犠牲になっている状況が変わらないのであれば、「働く環境を変える」というのが最善の選択肢になるのではないかと思うのです。
判断が難しいグレーゾーンの場合
ここまでは、「つながらない権利」を会社が明確に侵害している場合の話でした。
確実に「つながらない権利」を主張できる法的状況であれば法的結論や身の振り方に対する結論を出しやすいのですが、もう少しゆるやかに「つながらない権利」が侵害されているグレーゾーンの場合、判断が難しくなります。
すなわち、業務時間外の電話応対やメール返信などを行った場合に残業代が払われ、かつ、会社側の姿勢として「可能であれば対応をお願いします」というトーンの場合、「つながらない権利」が法的に侵害されているとまでは言えません。
しかし、従業員の立場としては、対応しないことが許されるとしても、「上司から仕事に消極的と思われないだろうか」などとプレッシャーを感じたり、不在着信の履歴や、スマートフォンのアプリのメッセージ着信音がどうしても気になってしまうなど、心理的な弊害は少なくありません。
業務時間外の連絡に対応する場合も、本来は、退勤したら次の日の出社時刻まで心身を休めることができるはずであるところ、再び頭が仕事モードに切り替わるため、心身の休息が充分にとれず、疲労が蓄積する恐れがあります。
昨今、従業員の健康確保のため「勤務間インターバル」の重要性が主張されていますが、「つながらない権利」が保障されないことは、この動きに逆行することに他なりません。
さらには、業務時間外の突然の連絡は、従業員の家族や友人との大切な時間に割り込み、場合によっては、家族との関係を悪化させたり、育児中であれば、スマートフォンに気を取られ、子どもを危険にさらしてしまうことにもなりかねません。
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