セドラチェクvs斎藤幸平「成長と分配のジレンマ」

「成長至上」と「脱成長」の狭間の資本主義論

共産主義の苦い記憶から資本主義内での改革を語るチェコのセドラチェクと、脱成長を主張するマルクス経済学者・斎藤幸平が徹底的に議論します(写真:NHK)
今、資本主義をめぐる議論が熱い。
「成長至上」のあり方を否定することにおいてはともに一致しつつも、現状を打開する方策、システムのあり方について意見を異にし、対立する2人が出会った。かたや思春期に共産主義を経験、その苦い記憶からそこに帰ることなく資本主義において解決策を探し続けるチェコの奇才アナリストと、アメリカでマルクスに出会い、脱成長の可能性に魅せられた夢見る俊英学者との対論だ。
欲望の資本主義5:格差拡大 社会の深部に亀裂が走る時』など、書籍化もされている新春恒例の番組「欲望の資本主義」。元日放送の「BS1スペシャル 欲望の資本主義2022 成長と分配のジレンマを超えて」での、トーマス・セドラチェク氏と斎藤幸平氏によるチェコと東京を結ぶ熱い議論は、3時間を超えるものとなった。その冒頭部分をお聞きいただこう。

社会主義を支持する欧米の若者たち

斎藤幸平(以下、斎藤):セドラチェクさんの『善と悪の経済学』を読みましたが、経済成長を時に鈍化させる必要性をあなたは説いていますよね? 私も著書『人新世の「資本論」』の中で脱成長について議論し、その議論は今では日本でも多くの人に受け入れられています。

『欲望の資本主義5:格差拡大 社会の深部に亀裂が走る時』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

今日は「脱成長は可能なのか」について議論したいのですが、いちばんのポイントは、脱成長は資本主義の中で可能なのか、あるいは資本主義を超えた先の脱成長をめざすべきなのか、だと思います。その点について、じっくり話し合えればと思います。

セドラチェク:私の国は長く共産主義を経験しましたから、その点についても話せますね。それに、この問題を環境問題に結び付けた形で議論することも可能です。なぜなら、あなたのマルクス主義に基づきつつも現実的でエコロジカルな視点に、私はとても興味があるからです。すばらしい議論ができるでしょう。

斎藤:ええ。同意できる点と異なる点と……、議論を楽しみにしています。

セドラチェク:頭脳明晰な友人とのおしゃべりは、最高の夜の過ごし方ですからね。

次ページZ世代たちが直面する経済的不平等
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
  • 不安な時代、不機嫌な人々
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • フランスから日本を語る
  • iPhoneの裏技
トレンドライブラリーAD
人気の動画
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
EVの切り札?夢の「全固体電池」は何がスゴいのか
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT