「無形資産」の時代に新しく資本家になる人の特徴 必要なのは工場でも土地でもない多様な可能性

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「無形資産が肥大化するという経済のトレンドは格差を拡大していくはずです」と語るインペリアル・カレッジ・ビジネススクールのジョナサン・ハスケル教授(写真:NHK)
人が持つ技術や能力などの人的資産、デジタルソフトウェアなど、モノとしての実体が存在しない「無形資産」。肥大化する無形資産は、私たちの生活にどのような影響を与えるのか。
NHK「欲望の資本主義2021」での発言や『無形資産が経済を支配する』(共著)が話題のジョナサン・ハスケル教授に、無形資産の肥大化の影響を聞いた。番組の未公開部分も多数収録した『欲望の資本主義5:格差拡大 社会の深部に亀裂が走る時』から、一部を抜粋してお届けする。

無形資産は格差を拡大も縮小もさせる

――世界的に人々の間で格差が広がっていますが、無形資産と格差はどのような関係にあるのでしょうか。無形資産の肥大化は資本家と中産階級、労働者階級といった階層構造にも影響を与えていますか。

※無形資産=モノとしての実体が存在しない資産。特許や著作権などの知的資産、人が持つ技術や能力などの人的資産が代表例。その他、ブランド力などの市場関連資産、顧客情報・顧客基盤などの顧客関連資産や、企業文化、経営能力、人工知能システムなどのデジタルソフトウェアなど、多くの無形資産があると考えられている

ハスケル:無形資産が肥大化するという経済のトレンドは格差を拡大していくはずです。なぜなら、無形資産には、容易に規模を拡大できるという経済特性があるからです。

『欲望の資本主義5:格差拡大 社会の深部に亀裂が走る時』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

例えば、「ハリー・ポッター」シリーズはイギリスの大変重要な輸出品ですが、仮に私がその著者であったとしたら、その小説を世界中に売ることができます。

しかし、私が車を作って売っているとしたら、何度も繰り返して一台の車を売り続けることはできません。

つまり、「ハリー・ポッター」という知的財産を所有している人が得る利益は、有形資産を売買している人々が得る利益に比べて非常に大きくなり、それが格差に反映されるのです。そうした無形資産の肥大化とグローバリゼーションやインターネットが組み合わさって、格差を広げているのだと私は考えています。

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