見えないのに価値を生む「無形資産」とは何か ビル・ゲイツ注目「世界経済最大のトレンド」
無形資産の台頭で何が変わるのか?
経済は有形資産だけでまわっているわけではない。例えば空港は、滑走路やターミナルやトラックだけでなく、見たり触ったりしづらいものも所有している。複雑なソフトウェア、航空会社や小売り業者との価値ある合意、社内のノウハウ。こうしたものはすべて、構築に時間もお金もかかったり、空港を所有した人にとっては、長持ちする価値を提供するものだが、物理的なモノではなくアイデア、知識、社会関係でできている。経済学者の用語だと、これらは無形資産と呼ばれている。
経済が非物質的なものに依存するようになるかもしれない、という発想は目新しいものではない。アルヴィン・トフラーやダニエル・ベルのような未来学者は、1960年代や1970年代というずいぶん昔から「ポスト工業化」の未来について語るようになっていた。1990年代にコンピューターとインターネットの力がずっとはっきりしてくると、非物質的なものが経済的には重要だという発想は、ますます広く受け入れられるようになった。
社会学者たちは「ネットワーク社会」「ポストフォーディズム」経済といった話をした。経営の神様たちは、経営者に対して知識経済で活躍する方法を考えろと促した。
経済学者たちは、研究開発やそこから生まれたアイデアを、経済成長のモデルに組み込めるのではと考えるようになった。こうした経済は、ダイアン・コイルの著書『脱物質化社会』という題名に手際よくまとめられている。チャールズ・レッドビーターのような著者は、人々が間もなく「虚空で生きる」ようになると示唆した。