
火が、炎が、人々の心を開放する
「魂のタキ火」なる番組を始めた。 冒頭からカメラはひたすら燃える火を捉え、炎のアップの映像が延々と続く。ナレーションはない。パチパチと薪がはぜる音、風の音、遠く過ぎゆく電車の音もうっすらと鼓膜に響く。そして画面には、炎が相変わらず揺れ続ける……。
いったいこれは「番組」なのか、たまたまテレビを点けて、この映像に遭遇した方はその唐突な出会いに一瞬戸惑われることだろう。しかし同時に、少しずつ時の流れの感じ方が変わり、感覚の変容を覚えるという方も少なくない。
そのうちに炎の向こうから 聞こえてくる、とりとめのない言葉、素朴な声、洒脱な会話……。ようやく、さまざまなジャンルの3人のゲストたちがタキ火を囲み、言葉を交わすさまが描き出される。台本はもちろんない。炎を囲むことで、たまたま居合わせたかのような3人に、日常から少し自由になって、心の底に眠る思いを吐露してもらおうというわけだ。
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