セドラチェクvs斎藤幸平「成長は一体、何の為?」 資本主義での競争にどこまで意義を見出せるか

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共産主義の苦い記憶から資本主義内での改革を語るチェコのセドラチェク氏と、脱成長を主張するマルクス経済学者・斎藤幸平氏が徹底的に議論します(写真:NHK)
今、資本主義をめぐる議論が熱い。
「成長至上」のあり方を否定することにおいてはともに一致しつつも、現状を打開する方策、システムのあり方について意見を異にし、対立する2人が出会った。かたや思春期に共産主義を経験、その苦い記憶からそこに帰ることなく資本主義において解決策を探し続けるチェコの奇才アナリストのトーマス・セドラチェク氏と、アメリカでマルクスに出会い、脱成長の可能性に魅せられた夢見る俊英学者・斎藤幸平氏との対論だ。
元日放送のNHK「欲望の資本主義2022」で大きな反響を呼んだ2人の白熱の議論など、未公開部分も多数収録した『脱成長と欲望の資本主義』から、現代における競争の意義や日本人の働き方の問題について抜粋してお届けする。

終わりのない競争に疲れたZ世代の怒り

斎藤幸平(以下、斎藤):あなたが資本主義を信奉しているのはよく分かりました。しかし、資本主義社会で暮らす多くの人々は今日、その可能性や実力、才能を伸ばす機会を奪われています。そして、終わりのない競争に疲れている。だから、Z世代は怒っているわけです。

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セドラチェク:競争はとても良いことです。人間はいつでも機会があれば競争しています。1つの部屋に2人の子供を入れれば、すぐに競争が始まります。スポーツもそうです。人間は競争が好きなのです。ダンスにさえ競技会があります。

斎藤:スポーツやダンスの競争はよいことだと思いますし、私も好きです。が、資本主義世界の競争を見てください。

ジェフ・ベゾスやマーク・ザッカーバーグ、ビル・ゲイツは誰が一番早く宇宙に行けるかとか、誰が世界中にピラミッドのような未来のレガシーとなるような建造物を作れるかといったことで競争しています。愚かな競争です。

それは、資本主義のなせる業です。資本主義にはお金でより多くのお金を生むという無意味な目標があるからです。

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