斎藤:私が「脱成長」を主張するのは、そのほうがより良い未来をもたらす可能性があるからです。2年ごとに新しいスマートフォンは手に入らないし、休暇のたびに海外旅行はできないかもしれませんが、基本サービスや生活必需品の一部は保障されるので、馬車馬のように働かなければならないという心理的プレッシャーから解放され、趣味や家族・友人との交流に時間を費やす豊かな生活を送れるようになります。
経済成長を追い求める今の資本主義では、週に40時間以上働いているほとんどの人々が、その可能性を奪われています。
休暇中でさえ忙しい日本人
セドラチェク:その点では完全に同意します。特に日本社会に関してはそうです。ヨーロッパから見ると日本人は一生懸命働き過ぎです。
日本人はあまり遊んでいません。私は論文に「資本主義は過労死で終わるかもしれない」と書いたことがあります。食べる物がないからではなく、働き過ぎて死んでしまうのです。私はそれを恐れています。
チェコは日本よりも成長率が低く、GDPも日本より少ないかもしれませんが、日本のような負債はありません。これが成長資本主義の特徴です。成長するために借金をするのです。
大した資産はないけれど借金もない人と、銀行で300万ドル借りてきて現金をたくさん持っている人のどちらが金持ちかを比較しているようなものです。比べるのは馬鹿げています。これが、成長資本主義の愚かなところです。
文化的視点から見ても、私は、日本の人々がどれほど忙しいか知っています。休暇中でさえ、働いているときと同じくらい忙しく、次から次へと移動しますね。
私たちヨーロッパ人は、休暇と言えば、パイプを吸っているだけで、何もしません。そういう時間が私たちには必要です。私は、このようなヨーロッパモデルが世界中に浸透していくことを願っています。働きつつも過労死しない社会です。
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