資本主義は、「ショウ=見世物」にすぎない 天才哲学者ガブリエルが考える世界の構造
資本主義に代替案がない理由
セドラチェク:今日の資本主義の問題は、問題があるはずなのに問題にされていないことです。言葉を変えれば、資本主義は何とか機能しているけれど、なぜ、それが機能しているのかあまりよくはわかっていません。物理も同じで、たとえば、なぜ物が落ちるのかはわからない。落下という現象の細部まですべてを説明できる完璧な理論はないのです。
私たちは、資本主義は「そこそこには機能するけれど、完璧には機能しないもの」だということを心に留めておくべきです。資本主義が現在どのような状況にあるか、誰にも確実なことは言えません。
もしかしたら世界はすでに崩壊しているのかもしれない。あるいは、世界の崩壊は、あっという間に起きるのかもしれない。システム全体が実際に崩壊しかけているのかもしれないのです。私は、ある意味では、システム全体が実際に崩壊していると考えています。
ガブリエル:「資本主義」という言葉の意味はこの200年間で変化しました。私たちが資本主義としてその特徴を説明しようとしているシステム自体が変化したからです。つまり、システムの理論とシステム自体の両方が大きく変化しました。
変化はしましたが、基本的には、資本主義は「モノの生産を伴う組織的な活動全体」と定義できると思います。それが、資本主義が代替案のないシステムとなった理由です。今日の資本主義は、システムもシステムの理論も、単なるモノの生産と基本的には同義だと思います。
かつて、私たちは資本主義に代わるものがあるはずだと考えていました。モノの生産と消費の観点から、どのように社会がまとまるべきかに関する理論が数多くありました。そして、そのすべては、歴史と科学的、技術的な進歩によって、ある意味では、誤りだったと証明されたのです。
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