なぜ「義父母の土地に家を建ててはいけない」のか 実父母が所有する土地でもできれば避けたい
夫婦円満な生活を送るためにも、できれば事前にトラブルの芽は摘んでおきたいものです。そこで、年間100件以上離婚・男女問題の相談を受けている中村剛弁護士による「弁護士が教える! 幸せな結婚&離婚」をお届けします。
中村弁護士が自身のツイッターでつぶやいたところ、1万件以上リツイートされるなど大変話題になったこのテーマ。
中村弁護士は「後々の大きな爆弾を抱えてしまうことになるため、絶対にやってはいけません」と話します。果たして、その理由とは?
「タダで土地を使えてラッキー」ではない
私は、現在池袋で離婚・男女問題の案件を多く取り扱っています。年間100件以上離婚や男女問題に関するご相談を受けているなかで、「夫婦関係が悪化する前から、こうしていればここまで揉めなかったのになぁ」と思うことが多々あります。
まず、「結婚した夫婦が絶対にやってはいけないこと」の第1位が、「義父母の土地の上に家を建てる」ことです。
自分の実父母が所有する土地上に家を建てることも避けたいですが、自分の配偶者の父母の土地の上に家を建てるということは、絶対にやってはいけません(なお、ここでいう実父母、義父母の区別は、建物の所有名義人と土地の所有名義人の関係をいいます)。
これは、特に地方ではよく行われると聞きます。もしかしたら「タダで土地を使えてラッキー」くらいに思う人もいるかもしれません。しかし、これが大きな落とし穴になるのです。
日本の法律上、土地と建物には別の所有権が成立します。当然のことですが、建物を建てるためには土地が必要ですので、土地と建物の所有者が別の場合、土地所有者との間で、何かしらの権利が必要となります。そうでないと、不法占有者になってしまいます。
そして、一般的に、義父母の土地の上に建物を建てる場合、賃料を支払うこともなく、何らの契約書も交わさないことが多いでしょう。その場合、土地所有者(義父母)との間では、「使用貸借」という契約上の権利に基づいて土地を使用することになります。要は「タダで借りる」ということです。