なぜ「義父母の土地に家を建ててはいけない」のか 実父母が所有する土地でもできれば避けたい

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お金を払って借りる「賃貸借」は、借主も一定の負担があるので、借地借家法で借主には手厚い保護がなされています。例えば、建物所有目的で土地を賃借した場合、借地借家法により、契約期間は最低30年とされますので、賃料不払いなどよほどのことがない限り、30年経つ前に追い出されることはありません。

しかし使用貸借の場合、借主は何の負担もなく、あくまでも貸主の好意で貸されているにすぎないため、権利保護がとても弱いのです。

そのため、特に何も定めていない状態だと、信頼関係が破壊された場合に、いつでも「建物を壊して出ていけ」と言われる危険があります。

もちろん、建物から追い出されたとしても、住宅ローンは残ります。出ていけと言われてしまったら、建物は無価値になるどころか、少なくとも100万円前後の解体費用を支出しなければならない負の財産になってしまいます。

離婚することになったらさらに問題に

夫婦が離婚するとなった場合、財産分与においては、夫婦で貯めた財産の2分の1ずつもらえるのが原則です。

しかし、義父母の土地の上に建てた建物は、上記のとおり、負の財産でしかないため、建物の名義人は、家を手放してすべて相手方配偶者に渡さざるを得ません。その場合は、夫婦で貯めた財産のほぼすべてを相手方に譲ることになってしまうことが多いです。

もちろん、相手に渡したくないなら、夫婦で費用を負担して建物を解体することも考えられますが、建物は住宅ローンの担保になっていることが多いので、担保である建物を解体したら、金融機関との関係で新たな紛争が発生する可能性があります。

●仮に離婚しなくても「相手の言いなり」

夫婦が仮に離婚しなかった場合でも、使用貸借の場合、土地所有者が圧倒的に強いため、義父母と関係が悪化してしまった場合、建物所有者は非常に弱い立場になります。そのような弱い立場のため、相手の言いなりになるしかなく、非常に肩身が狭い思いをされている方をよく見かけます。

また、父母の土地の上に子ども夫婦が家を建てる場合、その父母と子ども夫婦で同居するケースもよくありますが、父母と子ども夫婦の関係が悪化して、子ども夫婦が家を出て父母と別居した、というケースもあります。その場合、父母が住んでいる家の住宅ローンは払い続け、それとは別に自分たちが住む家の家賃を支払うという「二重払い」の状態になってしまいます。

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