なぜ「義父母の土地に家を建ててはいけない」のか 実父母が所有する土地でもできれば避けたい

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●関係が良好でも「油断はできない」

さらに、仮に夫婦関係も良好で離婚せず、親子関係も幸いにして良好であったとしても油断はできません。なぜなら、親はいずれ亡くなるからです。

親が亡くなった場合には、相続が発生します。遺言がない場合、兄弟がいれば土地の共有者として入ってきてしまいます。

私が過去に扱った事件でも、親が亡くなって相続が発生したあとに、非常に揉めたケースがありました。建物を建ててから約30年後に起きた紛争です。その事件では、建物を壊して出ていくようにという判決が出されました。最終的にはうまく解決できましたが、薄氷を踏む思いでした。

既に義父母の土地に建物を建てていたら…

この記事を読まれている方のなかには、「既に建物を建ててしまったよ」という方もいるかもしれません。その場合、今からでも契約書を交わし、賃料を支払うことにして、「使用貸借」から「賃貸借」に変更することをお勧めします。

賃料というと、マンションの家賃などを想像し、月10万円前後払わなければならないのではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、土地の賃料は、場所や広さにもよりますが建物の賃料に比べて相当安く、東京23区内で最寄り駅から徒歩圏内でも月2万~3万円程度という例もあります。場所によっては、月1万円もいかないかもしれません。その金額で、借地借家法上の強力な保護が得られるなら、安いものです。

以上の理由から、土地と建物は、同じ所有者にしておくことを強くお勧めします。

中村 剛(なかむら・たけし)弁護士
立教大学卒、慶應義塾大学法科大学院修了。テレビ番組の選曲・効果の仕事を経て、弁護士へ。「クライアントに勇気を与える事務所」を事務所理念とする。依頼者にとことん向き合い、納得のいく解決を目指して日々奮闘中。
中村総合法律事務所https://naka-lo.com/

 

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