冬も好調なハーゲンダッツが限定品を連投する訳 「今だけ」を楽しみたい消費者は多い

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ところで筆者も含めて、日本人が「限定品に弱い」理由は何だろうか。

「期間限定以外に、エリア限定や数量限定品もありますよね。どんどん新しい商品が出てきて、今しか買えない。限定品を買うことにモチベーションを感じるのではないでしょうか」

黒岩さんの指摘には納得するが、この説明で思い出したのは「チラシ文化」だ。紙のチラシ以外にネットのクーポンでも「限定品」がよく目玉商品となる。

その昔、仕事相手から「これからはチラシ訴求の時代ではない」という意見を聞いたことがある。当時は外資系の大手小売業が次々に上陸した時代だったが、今でもチラシが健在なのは、それに情報を得て「掘り出し物を探す」感覚なのではないだろうか。

そして限定品を手に入れた場合には「達成感」が強いように感じる。

量販店はクリスマス、コンビニは正月に最も売れる

最後に、日本上陸以来ずっと「12月に最も売れる」理由も聞いてみた。

「もともと日常購入ではないプレミアムアイスなので、1年が終わる12月にごほうび需要として選ばれてきました。今年頑張った自分へのごほうびもあれば、会社員はボーナスが入るなど購買意欲が高まる時期でもあります。年末年始の人が集まる機会での利用や、コンビニで買うアイスクリームのぜいたく品として選んでいただける、と感じます」

くわしく最需要期を聞くと「量販店はクリスマスぐらいがピークで、コンビニは正月がピーク。コンビニは自宅の冷蔵庫代わりという意識なのでは」という答えだった。

この2年は、外食が減って自宅で食べる内食が中心となり、持ち帰りや配達の中食も増えた。200~300円程度で買えるプレミアムアイスは、生ケーキよりも値頃感がある。

最初に緊急事態宣言が発出された2020年4月は大苦戦したハーゲンダッツも、同年5月以降は若い世代から支持が戻り始めたという。コロナ禍でも12月にプレミアムアイスクリームを楽しむ風潮は、日本社会としての息抜きなのかもしれない。

クリスマスのイルミネーションが各地でみられる時期となった(2020年、筆者撮影)
高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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