冬も好調なハーゲンダッツが限定品を連投する訳 「今だけ」を楽しみたい消費者は多い
ザッハトルテの本場・オーストリア政府観光局が「これはザッハトルテでないけどおいしい」とツイートしてくれた。「ザッハトルテの再現ではなく“バーで表現”なので、ありがたい反響でした」と黒岩さんは振り返る。
こうした考えで商品開発を行うが、過去にはこんな限定品も出してきた。
「ほうじ茶ラテ」は成功、「チャイ」は失敗だった
「これまでの限定品ミニカップで印象深いものが2つあります。ひとつは2017年4月、同年10月発売の『ほうじ茶ラテ』、もうひとつは2005年2月に発売した『チャイ』です。
ほうじ茶ラテは今では人気ドリンクですが、4年前はまだ浸透していませんでした。実は発売前の事前調査でも消費者の評価は高くなかったのですが、発売したら大ヒット。タイミングもよかったです。2019年5月にも限定品として発売しました。
一方のチャイは、スパイス系を使った味でテレビCMでも訴求。まだチャイへの認知度も低く、一定の売れ行きはあったのですが、消費者の評価は低かった。当時は、お客さまがハーゲンダッツに期待する味ではなく、とんがりすぎたと反省しています」
こうした限定品も定番品も、現在は全国各地の小売店で気軽に買えるが、その昔はまったく違う戦略をとっていた。
「直営店」で培ったプレミアムイメージ
アメリカ発祥のハーゲンダッツが、日本に上陸して東京・青山に1号店を開いたのは1984年。今から37年前だ。地下鉄外苑前駅に近く、青山通り(国道246号線)に面した1号店は、オープン当初から若者を中心に店外までお客が並び、「行列文化」の象徴でもあった。
1980年代から90年代前半までのハーゲンダッツは、「ショップ」と呼ばれた直営店の販売が主体だった。以前の記事で書いたが、筆者が最初に同社を取材したのは17年前の2004年。国内店舗数は66店で、総売り上げに占めるショップの売上比率は6%にすぎなかったが、重要な戦略に位置づけられていた。ショップ事業は2013年まで続いた。
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