土屋鞄のバッグが「高くても売れる」納得の理由 販売だけでなく「人生の伴走者」を目指していく
新型コロナウイルスの影響による外出自粛やリモートワークの浸透で、消費者の意識は大きく変わった。食品など「巣ごもり系」が売り上げを伸ばす一方で、外出時を彩る衣服や美容などの「着飾り系」は総じて振るわない。
社内や取引先との会食機会も減り、例えばアパレルは「安くて機能的なユニクロとジーユー(GU)があれば十分」という声が高まるほどだ。
だが、こんなご時世でも「高くても売れる」ブランドがある。ランドセルで知られる土屋鞄製造所(以下、土屋鞄)の大人用バッグや革製品だ。
コロナ禍における業績も、数字は非公表だが「ほぼ前年並み」だという。こんなご時世に、なぜ消費者の支持を集めるのか。同社の活動事例をもとに購買心理を考えてみた。
13万円以上の値をつける「大人ランドセル」
土屋鞄の活動は3つの「意外性」で興味深い。まずはこの視点から見てみよう。
(2) 高額商品が多い
(3) 東京の中心部に「都心店舗」を展開
1965年にランドセル職人が立ち上げた工房を発祥とする老舗メーカー(創業55年)なので、長年こだわる活動もあれば、近年力を注ぐ活動もある。意外性として「革製」を挙げたのは、現在のバッグの主流は、軽くて安価な布製やナイロン製だからだ。
(1)と(2)を象徴する人気商品が「大人ランドセル(OTONA RANDSEL)」だ。
創業50周年の2015年11月に記念商品として発売後、販売を続ける。発売時は話題を呼び、筆者も新聞メディアなどに寄稿した。現在の価格は13万2000円(税込み。以下同)からと高額だが、A4サイズのファイルやノートパソコンが入り、使い勝手も追求する。
2020年3月には防水レザーで仕立てた大人ランドセル(ネイビー)も発売した。
「このシリーズでは4年ぶりの新型です。雨や汗を気にすることなく使用できるよう、メイン素材に『防水スムースレザー』を用い、よりビジネスシーンで使いやすい仕様にしました。発売後も好調で、7月には新色チャコールグレーも投入しました」(広報担当者)
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