土屋鞄のバッグが「高くても売れる」納得の理由 販売だけでなく「人生の伴走者」を目指していく
8月1日、同社は都心で4店舗目の新店をオープンした。場所は、六本木・東京ミッドタウン(以下、六本木店)だ。大人向けバッグを中心に、財布や定期入れなども揃える。
執行役員・KABAN事業本部長の丸山哲生氏はこう説明する。
「昨年秋に開業したコレド室町テラス、渋谷スクランブルスクエアに続く、都心の商業店舗への出店です。当初は5月のオープン予定でしたが、この店ならではの特徴があります。
六本木店では、オリジナルの革製ハイチェアに座り、商品を選べる『個別接客カウンター』があります。当社商品の修理やメンテナンスサービスを行う『クラフツワークスタンド(CRAFTSWORK STAND)』も備えました。革製品のお手入れ方法もご案内でき、『販売』だけでなく『使う』にも寄り添えます。末永く革製品と向き合っていただける態勢にしました」
丸山氏は、建築設計事務所を経て2012年に土屋鞄製造所に入社。店舗開発や人事総務、販促企画を担当後、現職についた。
「革製品と向き合う」「販売後も寄り添う」は、近年の同社が注力する手法だ。それをコロナ禍の状況も踏まえて活動を深める。
「オンラインでの交流では、今年は、外出自粛の時期に、自宅で手縫いを楽しめるものをという気持ちを込めて『ホームクラフトキットコースター』を用意。インスタライブでリモートワークショップを開催しました。
また、お出かけの不安を少しでも減らせるよう、ランドセルや革製バッグにも使える抗ウイルススプレー『ロクエイチアールドット(6hr.)』の商品販売も開始しました」(丸山氏)
新規客を「顧客」にする取り組み
一連の活動に共通するのは「新規客を顧客にする」取り組みだ。どの業界や会社でも行う顧客化だが、土屋鞄は「点」ではなく「線や面」でつなげようとする。
例えば、商品の興味への入口は、「店舗」「手軽な商品」(ミニ財布)「他の顧客の評判」(子ども用ランドセル→大人ランドセル)などがあり、どこから入ってもよい。
購入後もお客に寄り添う「お手入れ」案内を、店舗やSNS、Webコンテンツで行う。オンライン情報の発信に積極的な同社だが、当初から綿密な計画を立てたのではないだろう。多くの小売業と同じく営業自粛中は、実店舗の売り上げはゼロとなった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら