土屋鞄のバッグが「高くても売れる」納得の理由 販売だけでなく「人生の伴走者」を目指していく
高くても支持されるのは、まず「品質のよさ」と「使い勝手」だろう。その軸足には、小学校の6年間で身長も体格も変わる、子ども用ランドセル(6万4000円から)で培った技術やノウハウがある。子どもなので高価なランドセルを投げたり、枕代わりにしたりする子もいる。
大人向け商品の購入者の中には「子どものランドセルで土屋鞄を愛用していて、ランドセルの丈夫さ・背負い心地を知っていたので大人用を買ってみた」人もいる。
トライアル商品として人気の「小型財布」
いきなり10万円を超える革製バッグではなく、身近な革小物から入る人も多い。代表例が「ディアリオ ハンディLファスナー」という小型財布(1万2650円)だ。
「当社が展開する50型以上のお財布の中で、人気が高いアイテムです。キャッシュレス化の動きを受けて、小型財布の人気が高まっており、それに応えた商品です。お客さまの中には『ECの再販で何度も買えなくて、やっと買えた』という方もおられます」(同)
バッグメーカーが小物を展開するのは、レストランに例えれば「高額なディナーを楽しむ前に、ランチで味を知ってほしい」戦略といえる。
購入客からは「手におさまる大きさで、ポケットに入れても目立たない」「小さい中に、お札・小銭・カードもすべて収納でき、取り出しやすい」という声が寄せられた。
「小さい」と「お札・小銭・カードが収納」が、現在の消費者心理に合っているのだろう。数年前に財布の企画をビジネス誌で行い、利用者に取材したことがある。当時からミニ財布人気が高まり、お札を折らずに入れられる長財布にも固定客がついていた。
現在はキャッシュレス化が進んだが、まだ現金対応のみの店や施設も多い。一方で、かさばる小物を持ちたくない人は増えた。その意味で同商品の使い勝手はよさそうだ。
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