モノをあげたい人が「やりがち」な残念なミス 大事なのは「あげる」ではなく「もらって頂く」事

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「あげる」こと自体は、前述した注意事項さえ守れば難しいことではない。何よりも、あげるものに事欠くことはほぼないであろう。

モノ余りの時代であり、あなたの家にもちょいと探せばとんと使わぬまま押し入れやクローゼットの奥で埃をかぶっているモノがいくらでもあるに違いない。「あげる」候補となるモノは、今や誰だって少なからず所有しているのである。そのまま抱え込んで部屋をごちゃごちゃにし続けるよりも、誰かにあげたほうがスッキリするというものだ。

そうなれば、流行りの「断捨離」もできてしまう。断捨離が難しいのは、いくら使っていないとはいえ、それなりに愛着のあるものを「捨てる」となればどうしたって心理的抵抗は免れないことなんだが、誰かに「あげる」となればその抵抗を免れることができる。一石二鳥とはまさにこのことではないか。

だがここに、大きな落とし穴がある。

いくら使わないとは言っても、長年大事に取ってきたものにはそれ相応の理由があるものだ。よくある2大理由が「ほとんど使っていない」「高かった」ってやつ。つまりは「よいもの」であるということですね。だからこそ使わないとわかっていても捨てられず、長年大事に取ってきたんですよね。

お気持ち、よーくわかります。

でもだからと言って、それが他人にとって「よいもの」であるとは限らないということをゆめゆめ忘れてはならない。

何度も書くが、ものが余っているのはあなただけではない。今や金持ちかそうでないかにかかわらず、日本国民のほとんどがあふれるモノに苦闘しながら生きていると言っても過言ではない。

つまりは、誰もがモノを「あげたがっている」のだ。「もらいたがっている」人を圧倒的に上回る人が「あげたがっている」。この事実を忘れてはならない。何かを喜んでもらってくれる人というのは、今やダイヤモンドのように貴重な存在なのである。

30万円した毛皮のコートも「ゴミ」かもしれない

つまりはですね、それがいくら良いものであろうが、例えば30万円もした毛皮のコートであろうが、誰もが欲しがっているわけではない。っていうか、おそらくはほぼ誰も欲しがっちゃいない。いくら高いものでも、似合わなかったり、すでに似たものを持っていたりすれば、それはもう単なるゴミなのだ。

そんな中で「欲しがってくれる貴重な人」を必死になって見つけ出して初めて、あなたの「あげる」行為は意味を持つのである。ここを疎かにして、安易に人に押し付けるようなことをすれば、あなたは単に迷惑な人、困った人である。

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