UUUM、専属YouTuber「半減」に踏み込む事情 動画広告の成長に見えた「限界」をどう超える?

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2021年5月期(以下、2020年度)、同社の所属チャンネル数は四半期ごとに増加した一方で、動画再生回数はほぼ横ばい。1チャンネルあたりでは再生回数が減少しているということだ。これに伴い、アドセンス広告収入も伸び悩む状態が続いている。

ある競合ユーチューバー事務所の幹部は「UUUMの再生回数の半分以上は、上位20人の専属ユーチューバーによるもの」と推測する。

数年前までは毎日のように動画を更新していた上位層ユーチューバーの中には、ユーチューブ外への活動の広がりとともに更新頻度を徐々に落とす人も増えている。そうしたマイナスを、新たに加入したユーチューバーたちでは補えていないもようだ。

そんなUUUMが新たな戦略として掲げたのが、「グッズ販売の拡大」「広告周辺領域の拡大」「社外クリエーターとの連携」の3つだ。

まずグッズ販売では、2020年度に5億円だったブランド・ライセンス商品の売り上げを2021年度は3倍以上の18億円にまで引き上げる計画だ。

所属ユーチューバーの会社に資本参加も

グッズビジネスについて、前出と別の大手ユーチューバー事務所幹部は「業界で最大の成功例は人気ユーチューバーのヒカルだ」と話す。チャンネル登録者数460万人を誇るヒカルは、衣料品系ECサイトのロコンドとともにアパレルブランド「リザード」を立ち上げている。

同ブランドはヒカルを知らない層の取り込みにも成功しており、1年で10億円以上を販売。「アドセンスは5億円程度。グッズのほうが売り上げ規模が大きい」と、業界内で話題になった。

UUUMもこのような「ファン以外も購入してくれるようなブランドをクリエーターと一緒に作る」(渡辺CFO)。2021年3月には、自ら企画・製造した商品をネット販売するD2Cの支援企業・AnyMind Groupと業務提携、新ブランドの育成に本腰を入れている。同分野の人員増強も図り、2022年にかけて続々とオリジナルグッズを投入する計画だ。

足元では、専属ユーチューバーでチャンネル登録者数280万人を誇る宅トレユーチューバー・Marina Takewakiが立ち上げた会社にUUUM自ら資本参加。サウナスーツやトレーニングマット、プロテインなどの商品販売、そのほかの事業の拡大などもともに模索していく。

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