ハーバード流は、「アメトーーク」で学べ? 一流とは、ひな壇でもキラリと光る人!

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「アメトーーク」をここまで育て上げた立役者、加地倫三ゼネラルプロデューサー(撮影:今井 康一)

②の代表格は、もちろん「アメトーーク」。雛壇に座っている芸人さん全員が主役です。VTRも最小限。60分間、ほとんどがトークです。実際、トークだけで1時間持たせるというのは大変ですが、そこに加地倫三ゼネラルプロデューサーを中心としたスタッフの戦略と創意工夫があります。

加地さんの著書『たくらむ技術』(新潮新書)によれば、テーマの設定、キャスティング、芸人さんの座る位置、トークの構成に至るまで、すべて計算されているそうです

ハーバードの授業では、雛壇に90人の学生が座っていて、教授が司会=雨上がり決死隊の役割を担います。アメトーークとは違って座席は決まっていますが、ひとつのテーマで80分間、ひたすらトークするのは同じ。きょうのテーマだったら、この学生をあてよう、この学生ならこう反論するだろう、と教授がプロデューサーさながらにキャスティングを決めていきます。

「アメトーーク」もハーバードの授業も、“雛壇に座っている人たちの意見を最大限に引き出し、トークを盛り上げる”という点では、戦略が共通しているのです。

「採点」されるから、雛壇の人は磨かれる

雛壇に座っているタレントも学生も、毎回、採点されるという点でも共通しています。ハーバードでは成績の半分が授業での「発言点」。つまりどれだけトークを盛り上げたか、何回発言したかなどで、成績が決まるのです。ハーバードは成績評価に厳しく、毎年、何人か卒業出来ない人がいることで有名。一つひとつの発言に卒業がかかっているのですから、1秒たりとも気が抜けません。

一方、「アメトーーク」でも、毎回、芸人さんは採点されているも同じ。それが明確にわかるのが、“自分の発言が60分間のうち何分放送されたか”です。1時間番組を2時間以上かけて収録しますから、編集によって、発言の取捨選択が行われるのです。何分採用されたかによって、次回の出演が決まる。ここで成功すれば、有吉弘行さんのように、どん底から大ブレークすることだって可能。芸人生命を懸けて出ている人だっているでしょう。

加地プロデューサーは、著書の中で、「トークとプロレスは似ている」と述べていましたが、採点されているからこそ芸人さんは真剣勝負になり、トークが面白くなるのです。

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