日テレが3冠王にまっしぐら、そのワケは? 「4月改編」で明暗が分かれたテレビ局決算
8月上旬に出そろった在京民放キー局の2015年3月期・第1四半期(4~6月)決算。5社の決算は明暗がくっきりと分かれ、通期の決算を占う内容になった。その概要をあらためて、分析してみよう。
各社とも、収益柱である地上波放送の広告収入が軒並み増加。アベノミクス効果で企業業績が回復し、広告が復活していることを裏付ける形となった。ただし、個別に見ていくと、テレビ視聴率の好不調の影響が表われている。出足の堅調を印象付けたのは、期初予想を上方修正した、日本テレビホールディングス(HD)とテレビ東京HDの2社だ。
日テレは年間3冠王にまっしぐら
特に日本テレビは、『ZIP!』『スッキリ!!』『PON!』『情報ライブ ミヤネ屋』など、平日の帯番組が好調を維持。『月曜から夜ふかし』『ナカイの窓』など、深夜枠も視聴率を増加させ、2013年12月~2014年6月まで7カ月間連続で、全日(6時~24時)、ゴールデンタイム(19時~22時)、プライムタイム(19時~23時)の時間帯で月間平均視聴率がトップに立ち、月間3冠を獲得し続けている。第2四半期に入ってからも7月、8月と3冠を獲得。9月第1週も3冠を維持している。
このままいけば、今年は年間、年度ともに、視聴率3冠王へと返り咲きそうだ。この好調な視聴率を背景に、地上波放送の広告収入は想定以上の伸びを見せており、今期業績予想の前提として、期初に会社側が発表した前期比0.9%減は、1.2%増に引き上げられている。
ただ、第1四半期の営業利益は前期比20.8%減の85.6億円。通期でも前期比4.7%減の382億円。これは4月に開始した定額動画配信サービス・Huluの番組調達費用や宣伝費用など、先行投資費用が発生したため。第1四半期、民放各局の負担となっているサッカーW杯の放映権料については、一部前期に繰り上げて費用化しており、アナリストの中には、「他局に比べれば、W杯による番組制作費負担が少ないにもかかわらず、20%超の営業減益なのはなぜか」と、疑問視する声もあった。
背景には、Hulu関連の先行投資のほか、音楽CDやDVDを制作・販売する子会社バップが、消費税率引き上げ前の前期2~3月に出荷量を増やし、第1四半期はその返品が想定以上だったこと、また前期よりリリース作品数が少なかったことなどが影響しているようだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら