あのプーチンを脅かす露「反体制カリスマ」の正体 クレムリンは「現政治体制に対する危機」と認識

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現在は収監中のアレクセイ・ナワリヌイ氏(写真:Andrey Rudakov/Bloomberg)
ロシア当局が命じたとされる毒殺未遂事件、療養先から帰国直後の収監。その安否が国際的な注目を集めるロシア最大の反体制派指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏。ノーベル平和賞の有力候補とも言われ、2021年10月、人権擁護や思想の自由、民主主義の発展に貢献した個人・団体に与えられるEU「サハロフ賞」を受賞した。
その受賞により、釈放を求める声がより高まっている現在でも、まるで存在を否定するかのようにプーチン大統領は決してナワリヌイ氏の名前を口にしない。ナワリヌイ氏とは、どういう人物なのか解説する。
※本稿はヤン・マッティ・ドルバウム氏、モルヴァン・ラルーエ氏、ベン・ノーブル氏の共著『ナワリヌイ プーチンがもっとも恐れる男の真実』から一部抜粋、再構成したものです。

反汚職活動家、政治家、抗議デモの指導者

アレクセイ・ナワリヌイのストーリーは3つの局面に分けて語ることができる。反汚職活動家、政治家、抗議デモの指導者だ。しかし、同一人物の3つの面は、母国を変えるために20年以上も繰り広げてきた政治闘争をより合わせる3本の糸にすぎない。

この3つの役割のいずれでも、ナワリヌイは一兵卒からはじめた。これらの道がどこへ続いているのかもよくわからないまま。反汚職活動をはじめた当初も、活動家ではなくただの少数株主だった。株式投資でカネを儲けたいだけだった、と彼はいっている。しかし、与えられて当然だと思っていた情報にアクセスできないとわかり、さらに、配当を受け取ってみて、不満が募った。それが闘う理由になった。

まずブログをはじめ、購読者を増やし、購読者を組織化して野心とともに育てはじめた。「株主保護センター」や政府調達に関する汚職調査サイトのロスピル、反汚職基金(FBK)を立ち上げ、活動家ブロガーのナワリヌイはしだいに政治家のようになっていった。

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