プーチン氏がリゾート地に「引きこもり」疑惑 クレムリンそっくりの執務室まで作った?
政治評論家らは、それをエリート同士の内紛の兆しとみた。反体制派の指導者は、これをクレムリンの虚言体質と結びつけた。だが、何カ月にもわたって在宅勤務を強いられている人々にとって、ロシアの調査報道サイトが伝えたそのニュースは妙に説得力のあるものだった。
ロシアの調査報道サイト「プロエクト」は12月上旬、ウラジーミル・プーチン大統領が黒海に面した温暖なリゾート地に、モスクワ郊外の大統領公邸と設備・内装がそっくりの執務室をビデオ中継用に持っている、と報じた。
ベージュのアームチェア2脚と背後にロシア国旗のある、調度品もまばらな執務室に座るプーチン氏の姿は今年、テレビでお馴染みの光景となった。プーチン氏は新型コロナウイルスから身を守るため、奥まった場所に引きこもって公務を行っている。
引きこもりはプーチン氏らしくない。いつもなら同氏は洪水や山火事といった危機のたびに「行動の人」となって、現場に現れて住民を勇気づけたり、対応を指揮したりする。
元スパイ「だましのテクニック」
それに今回は引きこもりすぎだ、とプロエクトは多くの人々が感じていたことをずばり指摘した。この記事は、主に匿名の情報源と状況証拠に基づくものだが、かつてスパイだったプーチン氏の巧妙なごまかしが報道されたことで、モスクワではさまざまな解説や論評が飛び交うようになっている。
この報道では、大統領専用機の公的な飛行記録(大統領の所在に関するクレムリンの声明とは矛盾するように見える)や、黒海沿岸の保養地ソチにつくられた二重オフィスの存在を知るとされる複数の匿名消息筋の証言が引用されている。クレムリン(ロシア大統領府)は報道内容を否定した。
プーチン氏は、モスクワ郊外のノボオガリョボやソチにあるボチャロフ・ルチェイなど、数多くの公邸を利用することができる。