プーチン氏がリゾート地に「引きこもり」疑惑 クレムリンそっくりの執務室まで作った?

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新型コロナの感染が広がる前まで、プーチン氏は頻繁かつ堂々とソチの公邸で公務を行っていた。現地の観光業を宣伝したり、一段とくつろいだ雰囲気で外国からの要人をもてなしたりするためだ。ところが、コロナ禍で政治は変化した、とプロエクトは書いた。

「クレムリンは、このようなときには国民は次のように考えると理解しているはずだ。大統領は首都、もしくはその近くに陣取って」ロシアを打ちのめしているウイルスとの戦いに取り組むべきであって、リゾート地で過ごしている場合ではない——。

専門家が嗅ぎ取った内紛のにおい

ラジオ局「モスクワのこだま」で政治コメンテーターを務めているエカテリーナ・シュリマン氏によれば、今回の報道はエリートの間で少し前に内紛が始まったことを裏付けるさらなる証拠になるという。二重オフィスの存在が報じられる前にも、プーチン氏の側近と家族の私生活を暴露する一連の報道が行われていたが、ロシア国内政治では近年、リーク(情報漏洩)や誤情報を使った中傷が行われることはまれだった。

プロエクトは、政権に批判的な新聞や経済紙で活動してきたベテラン記者のローマン・バダニン氏が2年前に設立。その概要説明には、クラウドファンディングでロシアに関する調査報道を行うサイト、とある。匿名の情報源に大きく依存しながら、数々のスクープを放ってきた。

「私たちが特化するのは隠された事実の発掘だ」。プロエクトは自らの使命をこう述べている。「難しくて危険なテーマに取り組むメディアがほとんど残されていないロシアでは、重要な取り組みだと考えている」。

プーチン氏の恋愛関係や家族に関する一連の暴露記事がここ何カ月と発表されてきたが、プロエクトもそうした暴露報道を手がけたサイトの1つである。

シュリマン氏は、政府および国営企業の空席をめぐって政府高官の子息たちが椅子取りゲームを繰り広げる中、こうした記事にはライバル一族を窮地に陥れる狙いがあるとする。

一方、ドイツ政府が「ロシアで神経剤による毒殺が図られた」としている事件(クレムリンは否定)でベルリンに搬送され、同地で回復しつつあるロシアの反体制指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏は、二重オフィスの報道を受けて自身の見解をツイッターに投稿した。二重オフィスを持つというのは「まさしくプーチンのやり方だ。ささいなことにまで嘘をつく」(ナワリヌイ氏)。

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