日本のエネルギー安全保障に絶対欠かせない論点 脱炭素と安定供給を軸に多様な選択肢が必要だ

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国際情勢上エネルギー資源確保が難しくなっている中、産油・ガス国であるロシアや湾岸諸国との資源外交を強化して対応するという方針は、もちろんそれ自体重要なことだが、資源が圧倒的に乏しい日本の安全保障上、このような方針のみで本当に有事に対応できるのだろうか。

また、2030年度までの温室効果ガス46%削減を表明した以上、エネルギー安全保障は気候変動対策とも表裏一体に絡めて、包括的に取り組む必要がある。化石燃料から脱炭素エネルギーへのシフトが国内外から要求される中、バランスを取りながらどのような方策で対応すべきか検討が必要だが、現行の戦略にはその論点は含まれていないようである。

新たな安全保障戦略に向けて議論が必要な今こそ、改めてエネルギー安全保障のあり方を多層的に考えなければならない。

長期的な脱炭素と目先のエネルギー危機

政府は10月、3年ごとにエネルギー政策の基本的な方向性を示す「第6次エネルギー基本計画」を閣議決定した。ここでは、再生可能エネルギーを主力電源化し、新たなエネルギーミックスのバランスを、2030年度までに再生可能エネルギー36~38%、原子力20~22%、石炭火力19%、水素・アンモニア1%とすることが定められた。

再エネについては現在の水準の2倍に引き上げることが目標とされ、再エネの主力電源化はもはや変えられない所与の長期方針となったが、そこにはリスクもある。

今年、気候変動対策を主導する欧州で電力不足が深刻化した背景には、再生可能エネルギーの発電量が不十分となり、電力需要の急増に伴いエネルギー価格が高騰したことがあった。とくに天然ガス(LNG)の価格高騰が顕著になり、天然ガスの価格支配力を持つロシアへの依存が高まる結果になった。IEAは、この欧州エネルギー危機の原因の一因に、「再エネ導入拡大」および「風力出力の減少」があったことを認めている。

この事例は日本の再エネ導入拡大にとっても、大きな教訓を与えている。風力や太陽光の出力が数週間にわたって得られなかった場合の代替供給をどう確保するか。日本では、現時点では欧州の電力危機のような混乱はないが、昨冬は、悪天候により太陽光発電比率が不安定になり、LNGの供給不足と合わせ需給逼迫の要因となった。同様の電力需給の逼迫は今後も続き、今冬の東京電力管内などの電力需給も、過去10年間で最も厳しくなる見通しを示している。

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