日本の経済安全保障「軍事領域」で押さえたい要点 新興技術との繋がりに不可欠な保全・育成・連携

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軍事領域における経済安全保障を支えるのは新興技術だ(写真:Graphs/PIXTA)
独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

経済安全保障の核にあるハイテク分野の産業競争に向き合うには、安全保障と軍事技術(ゲームチェンジャー技術)の動向を理解することが不可欠である。現代の安全保障は、新興技術によって戦略・作戦・戦術を変革する過渡期・発展期にある。技術革新はこれまで何度も軍事領域に変革をもたらしてきたが、現代の特徴はこの変革を牽引しているのが、急速に進展する民生技術であることだ。

ロボティクス、人工知能(AI)、量子技術などの技術は、民間の産業競争力のコア技術であるとともに、軍事力にも応用可能な軍民両用(デュアルユース)技術である。これら新興技術は伝統的な軍事技術の価値や位置づけを変え、新たな戦闘トレンドを作り出している。この動向を新興技術の発展に支配的な影響力を持つ民間セクターとともに産官学で理解を深め、現代の経済安全保障論に位置づける必要がある。

軍事技術の変化と戦闘のトレンド

軍事領域の経済安全保障の議論の前提となるのは、現代の安全保障で注目される3つの戦闘トレンドである。

第1に、戦闘領域(ドメイン)や主体が融合し不明確化することである。陸海空の伝統的な戦闘領域と、宇宙・サイバー・電磁波などの領域と、無人化・自律化システムの領域を組み合わせ、その相乗としてマルチ・ドメイン作戦を実行することが重視されている。

第2に、物理的領域での戦闘空間の高速化と、サイバーや認知領域での競争空間の常在化という2つの時間が併存していることである。情報通信技術や人工知能の発展により、高度な戦場認識や戦闘管理が瞬時に実行され戦闘全体が高速化している。他方で、日々実行されているサイバー攻撃や情報戦のような認知領域は常在戦場となる。

次ページ軍事技術が高機能・集約型と単機能・分散型に二極化
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