日本の経済安全保障「軍事領域」で押さえたい要点 新興技術との繋がりに不可欠な保全・育成・連携

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第3に、軍事技術が高機能・集約型と単機能・分散型に二極化する傾向があることである。莫大な開発コストを伴う次世代戦闘機・イージスシステム・衛星コンステレーションのような、ハイエンド技術の統合トレンドの一方で、廉価な航空ドローンのスウォーム攻撃や3Dプリンターによる使い捨て型兵站に至るまで、ローエンド技術による戦場の変革も重要だ。

ゲームチェンジャー技術:次世代の戦闘を規定

こうした次世代の戦闘を規定するのがゲームチェンジャー技術である。その第1は無人化システムとロボティクスである。陸海空すべての領域において急速な技術開発が進む無人化技術は、指揮統制、戦場認識/空間管理能力、戦力投射能力に著しい変化をもたらしている。さらにAIによる作戦・戦術・交戦の自動化・自律化が進展すれば、中間階層における人的介在を最小限とした自律的な指揮統制メカニズムが軍の行動を形作る時代が到来するかもしれない。

第2は高出力エネルギーである。とりわけ指向性エネルギー兵器(DEW)は、砲弾やミサイルなどの運搬手段によらず、意図した目標に対して指向性エネルギーを直接照射することによって、目標物を破壊もしくは機能を停止することが目指されている。また、高出力マイクロ波によって発生する電磁パルス(EMP)が、電磁波によって情報・電力インフラに不可逆的な損失を与える兵器として実用化されることも目前となっている。

第3は量子技術である。量子技術もこれまでの軍事の常識を凌駕する革命的変革をもたらす可能性が高い。量子コンピューターは、大規模データの高速処理により戦闘システム能力を飛躍的に向上させ、量子センサーは航空機の気流変化や潜水艦の水流変化を感知し、量子レーダーはステルス機さえ探知し、量子暗号は公開鍵暗号の解読を可能とする。

軍事領域の経済安全保障1:新興技術を保全する

経済安全保障政策はこれら新興技術と軍事領域のつながりを、「保全」「育成」「連携」という3つの方針で臨む必要がある。まず喫緊の対策として必要とするのは、機微技術を流出や搾取から「守る」措置の徹底である。米中両国の技術覇権が熾烈化する中で、アメリカは「国防権限法2019」に付随する措置として、対内投資規制の強化、機微技術の輸出管理、政府調達の規制の強化を推進している。またアメリカのバイデン政権の下では、機微技術に関するサプライチェーンの見直しも包括的に進められている。

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