「4つの類型」の「国境紛争」が今後激化する理由 移民、アイデンティティー政治、遺恨、囲い込み

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また注目すべきことに、デンマークやドイツなどの国々が、節税のために国内に登記を行っていない企業には、政府による金融支援を与えないと、かなりあけすけに表明した。海外移転や租税回避地、便宜置籍、ペーパーカンパニーなどは近年、それが何を目的とするものなのか、すべて暴露されている。それらは手の込んだかくれんぼ遊びを利用して、国内の課税当局から逃れる一方なのだ。

不安定化するロシアとウクライナの国境

犯罪者(とくに密輸業者)もまた、国境から数多くのカネ儲けのチャンスを見いだしてきた。たとえばウクライナでは、ロシアとの間の国境をドローンが行ったり来たりしているが、その一因はウクライナの最東部が不安定化していることだ。スパイ用のドローンは、この国境地帯を厳しい監視下に置こうとするロシアの軍事戦略には欠かせない。

一方、ウクライナの西部では、ドローンがかなり違った形で存在感を示している。たばこの密輸が一大産業になっているのである。安価なウクライナ製のたばこは、国境を越えてポーランドやルーマニアなどの国々に密輸され、中欧と東欧の全域で顧客に販売されている。たばこであれ、麻薬であれ、人身であれ、国境を超えた密輸は近隣の国々との関係を毒する。国境警備隊と密輸業者は、国境監視技術とその回避技術への投資を増やし続ける一種の「軍拡競争」に陥ることになる。

冷戦後の解体の歴史を逆転させようと躍起になっているロシアのような国にとって、国境は重要な関心事だ。プーチン大統領はソ連が失ったものを嘆く一方、世界におけるロシアの影響力を、エネルギー大国としてであれ、軍事大国としてであれ、地域の権力者としてであれ拡大することを、自身の大統領としての主たる遺産にしようとしてきた。

ジョージアの一部地域では国境が目に見えて流動化しているが、そのすべての原因はコーカサス地方のこの小さな共和国と、巨大な隣国との間の緊張関係にある。 2008年に短いながらも被害甚大な戦争を戦ったジョージア政府は、ロシアに手を緩める意思がまったくないことを知った。1週間足らずのうちに、 20万人近い国民が居住地を追われたのだ。

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