マツダが実現した「緊急時に命守る」スゴ技の正体 ドライバーに異変生じた際に自動で止まる仕掛け

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⑤「交差点左折」のシナリオには横断歩道の通過も考慮されているため、車両制御にはこれまで以上に細心の注意が払われる。体験時は、横断歩道に歩行者がいなかったが、同乗いただいたマツダの技術者によると、「歩行者がいた場合には歩行者の横断を優先してから、改めて周辺の安全確認を行って発進します」とのこと。

横断歩道のある交差点を自動走行で左折(筆者撮影)

それにしても前後左右に身体が振られない滑らかな運転操作には感心するばかり。大型二種免許を取得しバス運転手の経験がある筆者からしてもMAZDA CO-PILOT CONCEPT2.0の運転は抜群にうまい。

じつはこの公道試乗に先駆け、2.0を搭載した同型車両による山道(マツダのテストコース)の同乗試乗をしていた。

その際は、公道での理想的なカーブ走行ラインである車線中央付近→カーブ内側→車線中央付近といったスムーズな走りを60km/hで体感。さらに直線路では120km/hまで加速し、前のめりにならない丁寧なブレーキングまで披露した。

あくまでドライバーが正常運転できない場合の支援技術

加えて、MAZDA CO-PILOT CONCEPT2.0のシステムが発する音声(人の声)も絶妙だ。緊迫感あるトーンながら、過度な緊張を強いることのない落ち着いたしゃべり方は、緊急放送時のアナウンサーに近い。この語りかけは意識を失いかけたドライバーだけでなく、同乗者にとっても冷静さを取り戻せるため安心材料になる。

さて、ここまで紹介してきたMAZDA CO-PILOT CONCEPTだが、マツダとしてはいわゆる自動化レベルで語られる「自動運転」としてのアピールは一切行わないという。

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人の介入を求めない見事な自動走行を実現するが、あくまでもドライバーが正常に運転できない場合のバックアップ運転を行うための技術と位置づけた。だからこそマツダは仮想ドライバーの育成を目指すのだ。

見方を変えれば、「ドライバーが率先して使う自動運転技術」ではなく、「万が一の際に自律的に稼働する自動運転技術」、これがEDSSの考え方をベースにしたMAZDA CO-PILOT CONCEPTの将来像なのだ。

西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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