マツダが実現した「緊急時に命守る」スゴ技の正体 ドライバーに異変生じた際に自動で止まる仕掛け

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今回、MAZDA CO-PILOT CONCEPT2.0の技術コンセプトを搭載した実験車両(マツダ3)に公道(一般道路)で同乗試乗を行った。

詳細をレポートする前に少しだけ、MAZDA CO-PILOT CONCEPTのベースとなった国の取り決めを説明したい。

2016年3月、国土交通省による「ドライバー異常時対応システムのガイドライン」が2輪車を除くすべての自動車に対して策定された。ドライバー異常時対応システムは「EDSS」(Emergency Driving Stop System)と略される。

自動走行で車線変更を行うMAZDA CO-PILOT CONCEPT2.0(筆者撮影)

国土交通省が発したこのガイドラインは世界初の技術指針として広く認知され、今では各国の自動車メーカーも準じた技術を実装する。

過去に「デッドマン装置」(国土交通省)とも呼ばれたEDSSの役割は、ドライバーの異常検知と自律的な車両制御だ。当初、システムによるブレーキ制御から始まったEDSSだが、技術進化により現在では制御内容が増えた。

2次被害ゼロか軽微な被害にとどめることが目指せる

安全な場所への停止を目的に、アクセル/ブレーキ/ステアリングの運転基本操作をシステムが行い、ドライバーが意識を消失しても2次被害ゼロ、もしくは軽微な被害にとどめることが目指せるまでに高度化したのだ。

運行設計領域(ODD)に大幅な制限がつくが、システムの制御内容は紛れもなく自律型の自動走行である。

2016年当時、まずは大型観光バスでの実装が想定された。システムが異常を検知する方法は、A/ドライバーが異変を感じて自ら発動ボタンを押す方法と、B/乗客(乗務員)が発動ボタンを押す方法の2種類。現在は続くCとして、ドライバーモニタリングカメラなどを使い自動でドライバー異常を検知する方法も実車に採用されている。

ドライバー異常を検知した際のモニター画面(筆者撮影)

制御内容は現在、高速道路を想定した「単純停止方式」「車線内停止方式」「路肩等退避方式」と、一般道路を想定した「車線内停止方式」「路肩等退避方式」に分類されている。

日本の乗用車メーカーでは2017年のトヨタ自動車(レクサス)を皮切りに、日産自動車、ホンダ、SUBARU(スバル)などが一部車種に採り入れ、海外メーカーでもメルセデス・ベンツなどが採用済み。この先は採用メーカーや搭載車種が増えていく。

また、大型観光バス、大型路線バス、大・中型トラックも次々に備えるなど、EDSSは乗り物を跨いだ普及が進む。

次ページ一般道路での確実なEDSSの作動が必要な理由
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