「EV+CVT」乗ってわかったボッシュ新技術の神髄 エンジンでなくても無段変速機の特性は生きる

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近年、乗り物における電動化パワートレーンが注目を浴びている――。
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2021年後半はCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)の影響もあってか、乗り物における電動化パワートレーンが注目を浴びた。とりわけ電気自動車(EV)のさらなる活用に向けたニュースが世界中から発信されている。

今回、そのEVの走行性能の向上させる「CVT4EV」にテストコースで試乗した。CVT4EVは自動車部品メーカーであるボッシュ(ドイツ)が開発中のプロトタイプ車両だ。

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電動駆動モーターに既存のCVT(Continuously Variable Transmission)を組み合わせることで、走行性能の向上とともに二次バッテリーの小型化と、充電1回あたりの走行距離であるAER(All Electric Range)延長を目指す。

オランダ人であるHub.Van.Doorne博士によって1958年にはじめて製品化されたトランスミッションであるCVTはその後、広く普及。1987年には富士重工業(現SUBARU)の小型車「ジャスティ」に採用された。

ボッシュでは、1985年からCVTの要である金属ベルト(プッシュベルト)の量産を開始し、2020年には生産実績8800万本を達成している。

そもそもCVTとはどんな仕組みなのか?

早速CVT4EVの試乗といきたいところだが、まずCVTの機構をおさらいしたい。

CVTとは入力側プーリー(元は内燃機関や電動駆動モーター)と、出力側プーリー(先は駆動輪)をベルト(主流は金属製)でつなぎ、各プーリーの直径を変えることで、歯車による有段ギヤを用いることなく無段階に変速できるトランスミッションのこと。プーリーとは滑車を意味する。

純正のeゴルフが搭載する減速機を外し新たにCVTを搭載

プーリーは、頂点が向き合った2個の円錐で構成され、その間に金属ベルトがおさまる。円錐を両側から押しつける(幅を狭める)ことで、その間に挟まれている金属ベルトが押し上げられ、結果としてプーリーの直径が大きくなる。反対に円錐を開放する(幅を広げる)とプーリーの直径は小さくなる。

つまり、2つのプーリー直径を連続可変させるから無段階の変速が実現する。これがContinuously Variableと呼ばれる所以だ。

具体的には、入力側で内燃機関や電動駆動モーターの回転制御を行い、出力側では駆動輪の回転制御が行われるわけだが、入/出力側で状況に合わせて直径を独自に変化させるため、結果として駆動トルクと回転速度の調整が行える。

次ページEVの総合性能を押し上げるためにCVTを組み合わせ
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