「EV+CVT」乗ってわかったボッシュ新技術の神髄 エンジンでなくても無段変速機の特性は生きる

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EVでは通常、減速機を使って電動駆動モーターの回転を落とし、最適な回転数に整えてから駆動輪に伝えているが、減速機は金属製の歯車で構成されているためギヤ比はひとつに固定される。そして、このギヤ比は常用する回転域などによって決められ、EVの最高速度は組み合わせたギヤ比でのモーター回転数上限で定まる。

EVでも走行性能の向上を目指すポルシェ「タイカン」と、アウディのEV「e-tron GT quattro」、「RS e-tron GT」(ベースはタイカン)では後輪側に2速の有段自動変速ギヤを備え、RS e-tron GTでは250㎞/hの最高速度と534㎞/hのAER(WLTCモード値)を両立する。

今回試乗したCVT4EVはEVの総合性能を押し上げるためにCVTを組み合わせた。

走行性能が向上

プロトタイプ車両にはCVT4EVを示すデカールで装飾する

ポルシェやアウディのような有段ギヤではなく無段階変速ができるCVTによって、たとえば試乗したフォルクスワーゲン「eゴルフ」(いわゆるCセグメント車両)では最高速度を10%以上向上させつつ、1クラスの上Dセグメント車両の場合はAERを最大4%伸ばすことが可能。さらに、ボディが大きく車両重量がかさむE~Fセグメント車両に搭載した場合であっても、加速性能が13%向上するという。

テストコースに用意されたeゴルフは2017年モデルで、搭載していた減速機を外し、代わりにボッシュ製の金属ベルトを内蔵したCVTを搭載した。金属ベルトは金属製のコマで構成され、CVT4EVではコマのエレメント幅(いわゆる横幅)を内燃機関(2.5lガソリンエンジン)向けCVTで普及している24㎜とした。

試乗は次の①と②の車両設定を切り替えながら、高速周回路での加速性能テストと、10~30%の登坂路における発進加速テストを行った。

①電動駆動モーターのトルク値を290N・m(eゴルフ正規の値)とし、CVTは最高速度が85㎞/hになるようレシオを定めた設定。

②電動駆動モーターのトルク値を203N・m(①から30%減少)とし、CVTのレシオカバレッジ(変速比率の幅)を2.55として最高速度を120㎞/hに設定。

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