「中学受験に没頭する親」が間違う大切な優先順位 子どもの感情や発達段階を無視していないか

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中学受験を考える親が、考えておきたいこととは?(写真:Fast&Slow / PIXTA)

※石田勝紀先生へのご相談はこちらから

中学入試本番を控え、秋頃から12月にかけては、受験生の親子にとって「魔の月」とも言われる。やる気がないように見える子どもに苛立ちを募らせ、つい暴言をはいてしまったり手が出たり。自分はなんてひどい親なのだろうと自己嫌悪に陥ることもあるかもしれない。
この難しい時期に、親として心がけておくべきことはなんだろう。教育虐待に突入してしまう家庭と、そうでない家庭では、どんなところが分かれ道になるのか?中学受験や親の悩みに詳しい専門家3人のイベントから、受験を控えた『魔の月』に心がけておきたいことを全3回に分けてお届けします。
今回は、東洋経済オンラインの連載でもおなじみ、毎年2500人以上の親の悩みに向き合う教育デザインラボ代表理事の石田勝紀さんです。
(1回目は、保護者の信頼が厚く予約がたえない中学受験専門カウンセラー、算数教育家の安浪京子さん、3回目は育児・教育に関して多くの著作があり、教育虐待の第一人者でもあるジャーナリストのおおたとしまささん)

「どうしたら思い通りになりますか?」

石田 勝紀(いしだ かつのり)/教育デザインラボ代表理事、教育評論家。1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

この5年ほど、年間100回ほど全国の保護者の方と語り合うMama Cafeを主催し、お母さん方とお話しています。1回の会につき、だいたい15名ほど参加されて、1対1で子育ての悩みに向き合います。その他、年に約1000件のご相談メールもいただきます。

これに全てにお答えしていくので、年間約2500件くらいのお悩みを拝見していることになります。年齢は未就学児から、まれに高校生を持つ親御さんまで。一番多いのが小学生のお悩みです。

内容としては、中学受験のお悩みも、そうでないものもあります。ずっとお悩みを聴いてきて言えるのは、子育てというのは、概して「親の思い通りにならないものだ」ということです。親御さんの悩みを抽象化させていただくと、「うちの子どもは、私の思い通りにならないのですが、どうしたら思い通りになりますか?」という言葉になるのかもしれません。

お話を聞く中で、やはり中学受験を控えた6年生のお母さんたちは必死です。お金も時間も徹底的にかけていいから、何とか子どもを志望校へ入れたい、というイメージです。子どもがどこの学習内容が苦手だ、なども細かく把握されているなという印象です。

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