「中学受験に没頭する親」が間違う大切な優先順位 子どもの感情や発達段階を無視していないか

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虐待というと言葉が強く、人権を無視した身体的な虐待のイメージが強いと思います。しかし、今回のメールのような心理的な虐待も深刻です。言葉による虐待も、よく見受けられることなので、気をつけなければなりません。

早咲きの子、遅咲きの子

私が、普段よくお話させていただくのが、中学受験には向いている子と向いていない子がいる、という話です。向いていないというと語弊があるので言い換えると、早咲き、遅咲きという言葉をよく使っています。

早咲きというのは、つまり、子どもたちの中には、公立の小学校の勉強が簡単すぎてつまらないという子もいます。より高度な知識を求めて、もっと考えることをやりたいという子もいます。それだったら、そこで足踏みするのはもったいないということで、中学受験の勉強をすると生き生きしだすような子もいるのです。

逆に、遅咲きの子というのは、高校受験型の子です。小学校では、基礎固めをこつこつやる。中学校へ行って、そこからだんだんと精神年齢が上がってくるので勉強に対しての意識も変わっていき、高校受験で花開いていく子です。例えば東京でも有名な都立高校はいくつもありますし、その先も頑張ってよい大学へ行っている子は沢山います。

どういうルートを取るかは、その子の性格や特性によってずいぶん変わっていきますし、道は一つしかないと思いこむ必要は全くないと思います。

そういうことは、子どもを普段からよく観察していると自然とわかるものですが、子ども視点で見ないで親視点でみてしまうと、子どもを、ある一つの枠の中に入れようとしてしまいがちになります。

子どもは、それぞれ皆、能力が違い、精神年齢も違います。本来であれば、その子のレベルにあったところからスタートして1ミリ1ミリ前進しながら積み上げていくのが理想です。でも、そうではなくて一つの枠に入れようとすると簡単に入るわけがないので、イライラがでてきたり、力技が必要になってしまうのです。

私は、中学受験を肯定も否定もしていません。子どもの能力、特徴にあった教育が受けられれば、どんな道を選んでもよいのではないかという考えです。そのためには、子どもの様子をもっと観察してみよう、とよくお伝えしています。

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